『五等分の花嫁』の“原作補完”とイフストーリーを実現 映画、アニメ、原作ファンに捧ぐ『ごときす』プレイのススメ

『五等分の花嫁』ファンに勧める「ごときす」

『映画「五等分の花嫁」 ~君と過ごした五つの思い出~』

 こんな期待に応えてくれる(かもしれない)のが6月2日発売のゲーム『映画「五等分の花嫁」 ~君と過ごした五つの思い出~』(Nintendo Switch/Playstation4)である。五つ子のうち一人を選んで告白する場面からストーリーが始まり、沖縄での卒業旅行でその告白相手との関係を深めていく。

 15のマルチエンディングが用意されており、素直に考えれば5人それぞれに三つのエンディングが用意されているのだろうと思われる。原作では描かれなかった(四葉以外の姉妹がメインヒロインとなる)イフストーリーを楽しめるのが最大の魅力だ。

 また原作通りに四葉を選べば、原作のストーリーを補完するような形で楽しむこともできるだろう。前述したとおり、四葉が「自分自身のことを好きになる」ようになったのは風太郎からの告白の後、原作の話数で数えるとコミックス1巻分にも満たない期間の後である。四葉が完全に自身を肯定し切るのは告白から5年後の結婚式においてであるが、その間の描写はほぼ存在しない。風太郎と結ばれた(直後は自身を肯定し切れていなかった)四葉にその間どんな心境の変化があったのか、それを少しだけ確かめられるかもしれないというわけだ。

 ちなみにマルチエンディングとして四葉以外のヒロインに告白することが可能であるということは、風太郎の承認を得られなかった四葉がどのように振る舞うのかシミュレーションできるということでもある。もちろん四葉以外のルートで四葉の成長過程が詳細に描かれるなんてことはありえないのだが、なにか一言、「選ばれなかった四葉」が「自分自身を好きになる」ことができたとわかる台詞が、あったりはしないだろうか。

 筆者にとって苦渋の決断ではあるが、「四葉以外の誰を選ぶのか」。それを考えることからこのゲームを始めなければならない。

(※1)「【興行収入速報】「映画 五等分の花嫁」の興行収入をどこよりも早くお届け!特典情報やグッズ情報も!」(https://taroimovie.com/5toubun/)
(※2)宇野常寛『母性のディストピア』(集英社、2017年)

©春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会 ©MAGES.

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