ソニーの『VEE』始動に、にじさんじ史上最強クラスの新人・壱百満天原サロメ登場……VTuberやARで大きな芽生え

ソニー『VEE』始動&にじさんじ最強新人登場

 学術方面でも注目すべき出来事があった。スイスの人類学者であるミラ(リュドミラ・ブレディキナ)の修士論文が、ジュネーブ大学のジェンダー分野の学術賞「プリ・ジャンル(Prix Genre)」を受賞したというトピックだ。

 「バ美肉(バーチャル美少女受肉)」を「中の人の性別を問わずに可愛らしい美少女キャラクターとして活動する興味深い現象」と捉え、ユーザーへの密着取材も交えて考察を行っている論文であり、「バ美肉」を扱う論文がこうして学術賞を受賞するのは世界初とされる。著者のミラは、バーチャル美少女ねむとともに「ソーシャルVR国勢調査2021」を実施した一人でもあり、いまや「バーチャル」と人間のアイデンティティやコミュニケーションに関する研究の第一人者と言えるだろう。今後のさらなる研究にも注目だ。

 今週の「Weekly Virtual News」の最後は、「VRChat」に現れた度肝を抜くような新作ワールドを紹介しよう。その名も「ORGANISM」。「生命」あるいは「組織」とも訳し得る名前だ。その空間はいわゆる「Liminal Space」と呼ばれる、不気味さと奇妙さ、そして懐かしさなどを喚起させる、名状しがたい廃墟のようなものだ。

 ワールドそのものはひとつの順路が存在するが、極めて広大であり、そして目に見える範囲はほぼ地続きで移動することができる。まともに歩けば、踏破には1時間から2時間はかかるだろう。その全てが不条理な法則で接がれた空間のようだ。しかし一方で、ワールドの各所に設置された「年号」やロシア語、そして様々なオブジェクトから、「ロシアに関する歴史的な出来事」をモチーフに据えているのではないか……という考察も存在する。歩んだ人によって、十人十色な感想や考察が生まれるほど、底が見えない「作品」だ。

 PC版の「VRChat」でしか訪れることができないが、下手すれば今年一番の大作ワールドになる可能性すらあるすさまじいワールドだ。UGCが根付いた「VRChat」からは、未だに新たな驚きが尽きることなく芽生え続けている。

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