2022年は「ミステリーゲーム」豊作の一年? 話題をさらった2作品のポテンシャルを再考

2022年は「ミステリーゲーム」豊作の一年?

2075年の未来で“AI推理バトル”をする注目作『CRIMESIGHT』

 コナミデジタルエンタテインメントが手掛けた『CRIMESIGHT』は、ミステリーゲームの中でもかなり特殊な部類に入る。と言うのも、同作は”対戦ミステリーシミュレーション”というこれまでに類を見ないシステムの上に成り立っているからだ。

CRIMESIGHT 発売トレーラー

 「ダレでもできる頭脳バトル!」(販売ページ)と謳われた同作において、プレイヤーはゲーム開始時にSherlock陣営(3人)とMoriarty陣営(1人)に分かれ、それぞれ異なる勝利条件を目指して各々がプレイング。ゲームの舞台となる洋館には6名の「ポーン」が閉じ込められており、うち2名に「ターゲット」(被害者)と「キラー」(殺人鬼)の役割が与えられている。そしてゲーム終了(10ターン経過)までに、Sherlock陣営は”ターゲットの保護&キラーの特定”、対するMoriarty陣営は”ターゲットの殺害&正体の秘匿”を遂行できれば勝利となる。テキストのみだと伝わりづらいかもしれないが、ゲーム中の雰囲気は将棋や囲碁、そのほかアナログボードゲームのテイストを想像してもらうと分かりやすい。

 6名のポーンはそれぞれ”空腹パラメータ”が設定されていて、お腹が空くと徐々に視界を失っていき、飢餓が進むと洋館内は極限状態を迎えてしまう。そうならないためにも、Sherlock陣営はポーンに指示を出して洋館の各所で食料を見つける必要がある。しかし、ポーンに指示を出すことができるのはMoriarty陣営も同じで、食料を探すフリをしてキラーに凶器を持たせ、周囲を欺きながらターゲットの殺害を目論む……といった行為もプレイヤーの頭脳次第で実現可能。いずれにしてもじっくりと思考を練りつつ、盤面に応じた最善手が求められる。

 対戦ミステリーシミュレーションという名の通り、両陣営ともにプレイヤーの積極的な指示が勝利のカギを握っており、加えて両陣営のAIによるアシストも駆け引きの妙を効果的に生み出している。そのほか、どちらの陣営にも属さない撹乱目的のAIも任意で投入でき、プレイ人数によってゲーム性が大胆に変わっていく点も魅力だ。

 開発を指揮したプロデューサー・長田毅志氏が他メディアのインタビューで語った通り、同作の注目ポイントは「言語に頼らない推理バトル」「刺さる人には強烈に刺さる」といった特質にある。「クローズドベータテストで好評を得られなかったらプロジェクト終了もありえた」という苦労を乗り越え、満を持して世に放たれた『CRIMESIGHT』。現時点で他機種版の発売等は不明だが、今後の動向に注目が寄せられるミステリーゲームの一作と言えるだろう。

 本稿で取り上げた2タイトルはまだまだ市場で日の目を見たばかり。今後のゲーム市場でどのように評価され、そしてどのような展開を迎えるのか。ミステリーゲーム界隈の両翼を担う2タイトルの行く末に期待を寄せたい。

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