元NASAのYouTuber、年間1800万ドルを稼ぐインドの詐欺集団にいたずら
詐欺師は身近にいるだけではなく、外国を拠点にした詐欺グループによる犯罪が横行しているのは周知の事実である。インドを拠点とした詐欺グループに立ち向かうべく、元NASAのエンジニアであるYouTuberのマーク・ロバーが詐欺コールセンターにいたずらを仕掛け、1つの拠点を閉鎖に追い込んだ。
ロバーは手の込んだ仕掛けを作るチャンネルで人気のYouTuber。「置き配」された荷物を盗む悪党にお見舞いするために、グリッターが宙を舞うキラキラ爆弾を開発した動画は人気コンテンツの1つだ。
2020年、ロバーは2万ドルの詐欺被害に遭った高齢者と出会った。彼の追跡により逮捕された犯人もいたが、アメリカで活動しているのは下っ端の運び屋にすぎず、詐欺師の集団はインドに拠点を置いていることが分かった。
その後、ロバーは詐欺集団にいたずらを仕掛けるためのチームを組成。詐欺を取り締まるチャンネルを持つジム・ブラウニングと、詐欺師の撲滅を目指すデュオ・Trilogy Mediaとタッグを組んだ。チームの準備が整うと、Trilogy Mediaの2人は詐欺電話の発信元とされるインドの都市、コルカタへ飛んだ。
ブラウニングは、コルカタにある詐欺の疑いのあるコールセンターのうち、Ansh Info Solutions、VRM Business Services、MET Technologiesを含む4つを突き止めた。4つ目のセンターの名前は明かされていない。彼はコールセンターのセキュリティ・フィードにアクセスし、監視カメラの映像を見られるようにした。さらに、チームは経験豊富な元詐欺師にコールセンターの求人に応募させ、中に潜入させた。
情報を集めたところ、コールセンターは年間1800万ドルを稼いでいること、被害者の90%が65歳以上であることが分かった。
ロバーは詐欺グループを困らせるための仕掛けづくりを担当。吐き気を誘発する軍用の薬品を使ったウォーターボトルや、ゴキブリを保管して放出できる箱、ネズミを放出する箱や室内に煙を放出する装置を制作した。彼の動画ではお馴染みのおならスプレーと4台のカメラを搭載したキラキラ爆弾を作り、準備は万端。
準備は順調に進んだかに見えたが、予期せぬ問題が起きた。Trilogy Mediaのメンバーが詐欺師たちに見つかり、情報が国内の55,000人以上の詐欺師が参加するTelegramグループで共有されてしまったのだ。このメッセージには2人を発見したら射殺するようにと記されていた。安全を確保するため2人はホテルで待機し、作戦のために雇った私立探偵などの他のメンバーが計画を続行することに。
いよいよ作戦開始。コールセンターには元詐欺師のメンバーが仕掛けを忍び込ませた。悪臭を放つボトルと、染料入りのハンドソープをトイレに設置するところからスタート。
詐欺師たちが悪臭の原因を突き止める前に、数十匹のゴキブリが箱から放出され、大騒ぎに。詐欺師たちがゴキブリの除去に勤しんでいる間に、次の装置が煙を噴出し、さらにネズミが解き放たれた。最後に、事務所から駐車場らしき場所に移動されたキラキラ爆弾が開封され、華やかに作戦が終了した。
一連の騒動を受け、Telegramグループには他の詐欺師たちに注意喚起をするメッセージが送られた。その結果、コルカタとデリーにまたがる複数の詐欺コールセンターが数日間停止した。
ロバーによると、名前を明かしていない4番目の詐欺コールセンターにはインド当局が入り、業務停止に追い込まれた。残念ながら、他の3つのコールセンターはまだ営業している。
彼は動画の締めくくりとして、コルカタ警察にTwitterでこの動画をシェアするよう視聴者に呼びかけた。
(画像=YouTubeより)
〈Source〉
https://www.businessinsider.in/tech/news/how-a-group-of-youtubers-pranked-a-scam-call-centre-in-india-that-earns-18-million-per-year/articleshow/91463331.cms