『Weekly Virtual News』(2022年5月2日号)
バーチャルな世界もここまできた! 上場、世界的eスポーツチーム参加、就活イベント開催まで
イーロン・マスクによるTwitter社の買収が決定し、世界を驚かせている。こんなことが起きるとは数年前まで想像だにしなかっただろう。先週のバーチャル界隈でも、「ここまできたか」と感慨深くなるような動きが各所で見られた。
2018年に「VTuber事業で上場を目指す」と語ったら、おそらくは夢物語だと思われたことだろう。しかし、2022年、それはもう現実になった。にじさんじを運営するANYCOLOR株式会社が、6月8日をもって東京証券取引所グロース市場への新規上場が決定したのだ。VTuber事務所としても、企業としても、国内有数の規模に成長した同社は、上場を通してさらなる成長を目指す。
一方、個人勢として国内有数の地位に成長を遂げた渋谷ハルは、アメリカのeスポーツチーム「TSM FTX」へのストリーマー枠として加入を発表した。様々なタイトルで多くの選手を輩出してきた世界最大のeスポーツチームに、日本のVTuberが加入するという、歴史的といっても過言ではない出来事だ。ちなみに「TSM FTX」には、『Apex Legends』トッププレイヤーの一人であるImperialHalが在籍している。奇しくも、同じ『Apex Legends』で活躍してきた二人の「ハル」が、同じチームに集う形となった。
初めまして、新しい次元の根本凪です。
明日からこの体にお引越ししますので、
よろしくお願いします!#新人Vtuber#Vtuber準備中 pic.twitter.com/02GDSdCotv— 根本凪 (@nemoto_nagi) April 30, 2022
先週は「著名なYouTuberのVTuber化」としてCookieSwirlCのVTuber化を紹介したが、今週は国内でアイドルがVTuber化を発表した。4月30日をもって「虹のコンキスタドール」および「でんぱ組.inc」を卒業した根本凪が、5月1日からVTuberとして活動すると発表したのである。Twitterプロフィールも更新され、早速3Dモデルも用意しており、本腰を入れた転身であるといえる。VTuberの形が年々自由になりつつあることを、こうした出来事からも読み取れるだろう。
Metaはついにリアルに店舗を建てた。5月9日に、実店舗「Meta Store」がカリフォルニア州バーリンゲームにオープンするとのことだ。VRヘッドセット『Meta Quets 2』はもちろん、ビデオ通話デバイス『Portal』、スマートグラス『Ray-Ban Stories』なども展示され、『Meta Quets 2』や『Portal』は店頭購入もできる。さらに、『Meta Quets 2』は巨大な曲面ディスプレイ付きの体験コーナーも用意されており、Metaのデバイスを一挙に体験できるとのことだ。こうした店舗が現実に生まれる時代になったのは、一人のVRファンとして感慨深い。
『VRChat』では、ついに就活イベントが開催された。4月29日に株式会社tenshabiが主催した『METANAVI』には、全5社が出展。会社説明と各ブースで行う参加者とのコミュニケーションで構成されたシンプルなイベントだが、すべてVR空間で実施され、企業側も参加者もスタッフも全員がアバターだ。筆者も現地の様子を取材していたが、就活イベントとは思えないほど和やかな雰囲気だった。VRメタバースゆえに場所を選ばず、そしてアバターゆえに肩肘張らずに参加できるのが大きかったのだろう。それでいながら、具体的な話が進んでいる参加者の姿も見られ、イベントとしてはかなり成功していると言えるだろう。6月には早速第2回の開催が決定した、新しい形の就活イベントの今後に期待だ。