『Weekly Virtual News』(2022年3月21日号)
大手事務所新人に、新たなメタバースや一般社団法人――バーチャルな業界にも春の訪れか
VTuberの話題が多かったが、メタバースに関わる見逃せない動きがあった。「一般社団法人Metaverse Japan」の設立である。昨年末、本連載第一回目にて取り上げた「日本メタバース協会」と比較すると、「バーチャル渋谷」に関わる面々などが理事クラスにいるほか、実際にメタバースに携わっている業界人もアドバイザーとして列席しており、真っ当な団体として立ち上がっているように見える。一方で、クリプト方面の関係者も参画し、団体として取り組む予定のものはメタバースのみならず、NFTやDAOも含めたWeb3全般に及ぶ。どのようになるかはまだ不透明なものの、メタバースもNFTも、本質的なあり方についての十分な論議はまだ足りていない。有識者たちによる建設的な発展の場が、”今度こそ”設けられたのだと思いたいところだ。
また、新たなメタバースも芽を出した。DMMが提供していたソーシャルVR「Connect Chat」が、3月15日に「DMM Connect Chat」と名を改め、大幅にリニューアルしたのである。日本人でもわかりやすいUIに、「VRChat」などのユーザーならば違和感なく馴染む操作感、ユーザーが自由に立てられるワールドとは別に「イベント」が設けられているなど、既存のソーシャルVRのいいところをうまく吸収している。すでに音楽イベントのみならず、小中学生の3Dモデル制作ワークショップの展示会なども開催されており、国産メタバースの新たな選択肢となるだろう。
先週は業界的にも「春」が訪れ始めたのか、かなり活気のある動きが各所で見られた。新年度に向けた助走としては、なかなかに熱気を帯びた一週間だったと言えるだろう。