大手事務所新人に、新たなメタバースや一般社団法人――バーチャルな業界にも春の訪れか

　VTuber業界の花形イベントの一つといえば、やはり新人のデビューだろう。それも特に大手事務所や新鋭組織からの新人デビューは、第一報の時点で話題になるものだ。先週はそういった「期待の新人」の発表が重なった。

　まず、にじさんじからは新人のデビューが3月16日に報じられた。海妹四葉、天ヶ瀬むゆ、先斗寧の3名の新人ライバーは、「Ranunculus（ラナンキュラス）」というユニットとしてデビューする。この3名は、ANYCOLOR株式会社が運営するタレント育成プロジェクト「バーチャル・タレント・アカデミー」の出身であり、同プロジェクトからのデビューは初となる。生え抜きの成長を待つのではなく、最初からハイスペックな人材を採るのでもなく、見込みのある人材を育成してデビューさせるという、にじさんじとしては新しい試みだ。また、デビュー時にオリジナル楽曲の発表も予定され、さらにデビュー特番まで組むという体制が敷かれており、これは英語圏グループ「NIJISANJI EN」の方式に近い。様々な意味で新しい基軸の新人と言えるだろう。

　3月18日には、VTuber事務所「Neo-Porte（ネオポルテ）」から1期生のデビューが発表された。同事務所は、個人勢VTuberの渋谷ハル、eスポーツチーム「Crazy Raccoon」、歌手のまふまふ、そらるがプロデュースする新設事務所であり、その豪華な体制から注目を集めていた。1期生としてデビューするのは或世イヌ、緋月ゆい、凪夢夛、夜絆ニウ、水無瀬、天帝フォルテの6名。その全員が、渋谷ハル主催の『Apex Legends』のVTuber大会「VTuber最協決定戦 ver.APEX LEGENDS Season4」の出場チーム発表配信にて情報解禁され、さらに同大会への出場も発表された。新人の初動としては、上述の「Ranunculus」に匹敵する好待遇だろう。経験豊富な運営体制による完全新設の事務所が、2022年のVTuber業界に新たな風を吹き込むことが期待される。

　3月19日と3月20日には、ホロライブプロダクション全体イベント『hololive SUPER EXPO 2022』が開催された。この開催とともに、男性グループ・ホロスターズより新ユニット「UPROAR!!（アップロー）」のデビューが発表された。夜十神封魔、羽継烏有、緋崎ガンマ、水無世燐央の4名で構成される同ユニットは、ホロスターズでは4期生に相当する世代となり、およそ2年ぶりの新人だ。ホロスターズも近年は徐々に知名度を上げており、既存メンバーともども、さらなる追い風を生むきっかけになり得るだろう。なお、『hololive SUPER EXPO 2022』にて開催されたホロライブの3rdイベント『hololive 3rd fes. Link Your Wish』では、ホロライブEnglishとホロライブインドネシアの一部メンバーの3Dモデルが解禁となり、海外ホロライブにもさらなる追い風が期待される。

　新人のみならず、古くからの活動者もにわかに注目を集め得るのがVTuber業界だ。『ウマ娘』のゴールドシップもその一人だ。公式チャンネル「ぱかチューブっ!」にて、2018年からゲームやアニメの始動以前からVTuberのような活動を続けており、途中休止していたものの、スマホゲームの大ヒットによって復活の声が高まり、2021年から再始動した稀有な存在である。

　そんなゴールドシップが、4月末に開催されるVTuber音楽イベント『VTuber Fes Japan 2022』に出演することが明かされた。VTuberと名言していない存在だった彼女が、VTuberイベントに出演する形となるのは興味深い。「ウマ娘」のヒットが続く中で、新たなフィールドへ出走するゴールドシップの活躍にも期待がかかる。