“結婚したくない男性”は何を思う? すれ違う男女の価値観描く『結婚してとうるさくて』

“結婚したくない男性”は何を思う?

今を生きる女性が、男性より早く結婚を望む理由

結婚してとうるさくて

 知也自身「やれればいいだけなんて思っていない。ただ、居心地がいい時間を過ごせるだけじゃだめなのかな」と語る。そんな知也に、まりえは「結婚する気あるの?」と真顔で迫る。

 「いつか別れるなら早く別れて、他の人を見つけるから」と言い放つまりえに「結婚が目的でしかなくなってるよね」という違和感を感じてしまう知也。男性にとっての結婚は自分のための結婚ではなく、世間体や彼女のためになってしまうこともある。自分を持っているからこそ、仕事を楽しみ稼いでいる男性ほど「100%誰かのために」という気持ちにはなれないことも多い。

 ただ「結婚がすべてじゃない」という考えはごく最近、やっと世の中に浸透してきた考えであり、家族と過ごした思春期時代から「自分はいつか結婚するもの」「子どもを生んで親に見せるのが自分の役目」という思いがあった女性もたくさんいる。

 ここには大きなすれ違いがあって「時代に合わせて女性が変わりなよ」と男性が思うのと、実際に変化を強いられる側の女性とでは、全く状況が異なるのである。今の女性たちは「まだ結婚しないのか」という身辺の世間体と「女性も強く生きるべき」という世の中の風潮に板挟みにされている。

 いくら周りから「時代は変わった」と言われても、幼い頃からの刷り込みというのはなかなか刷新しない。結局まりえは知也と別れた後、なんと他の男性との結婚をSNSで報告するのだ。

 女性は女性なりに、自らの意思を持って強く生きる方法を模索している。それがまりえにとっては、本命と次着の同時並行。「結婚が目的」の人間なりに、目的達成に向けたスモールステップを着実に踏んでいるのだ。

 子どもを生む時期にタイムリミットを持つ女性が、男性よりも早いタイミングで結婚を意識してしまうのはごく自然なことだ。男女の結婚観は大きく違うし、だからこそ互いに模索しなければいけないのだ。「ただでさえ合わない結婚観だからこそ、誰となら合うのか」を。

 それこそ、令和のアラサーが恋愛する上で、考えるべき一つの最重要項目なのかもしれない。

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