SRPGの黄金期は再び訪れるか? 『トライアングルストラテジー』に期待する“マイルストーンとしての成功”
シーンの重要なマイルストーンに。『トライアングルストラテジー』の存在意義とは
『トライアングルストラテジー』は、(良い意味での)古さと新しさが共存するタイトルだ。シミュレーションRPGジャンルの黄金期だった1990年代と、その時代に誕生した数々の名作たちを彷彿とさせるオーバービュー、「HD-2D」と呼ばれるドット絵のビジュアル、原点回帰のゲームシステム。これらすべてが同タイトルを語る上での必須の要素であり、他にはない個性だろう。ひとことで表現するならば、レトロデザインという言葉になるだろうか。ここに含まれる「レトロ」は昨今のゲーム業界において、ひとつのトレンドワードともなっている。
『トライアングルストラテジー』の話題性は、同じスタッフたちが手掛けた人気作『オクトパストラベラー』の成功と地続きであり、さらには、『UNDERTALE』に集まる評価、『MOTHER』の復刻とも関連性がある。今後もしばらくは「レトロ」をコンセプトにしたタイトルが登場しては、シーンを盛り上げていくことになるはずだ。
一方、別の視点では、シミュレーションRPGがいま熱いジャンルのひとつである点も忘れてはならない。過去を振り返れば、30年続く王道シリーズの最新作でありながら、シリーズ作品史上最高の売上本数を記録した『ファイアーエムブレム 風花雪月』(2019年7月発売)の登場と成功。少し先の未来を考えるならば、ロボットによるシミュレーションRPGの新しい形を模索する『Relayer(リレイヤー)』、上述の黄金期を彩った名作のひとつである『フロントミッション』のリメイクなどに集まる期待と注目など、昨今の同ジャンルは話題性に事欠かない。先日配信されたPlayStationプラットフォームの新作情報番組「State of Play」においては、同じくスクウェア・エニックスから、完全新作となるリアルタイムシミュレーションRPG『The DioField Chronicle(ディオフィールド クロニクル)』も発表され、話題を呼んだ。
このような時系列のなかで発売され、一定の成功を収めた『トライアングルストラテジー』は、後に振り返ったとき、シミュレーションRPG史におけるマイルストーンのようなタイトルとなっているかもしれない。復権の息吹を感じさせる同ジャンル。その未来は、『トライアングルストラテジー』の登場と成功によって、明るく照らされているような気がしてならないのだ。