コロナ禍で料理人の働き方にも変化が? SNSを活用して"バズ"を狙う出張シェフたち

 SNSを活用して"バズ"を狙う出張シェフたち

 コロナ禍で飲食業界は厳しい状況に追い込まれているが、SNSを活用して働き方を変えるシェフたちが海外で話題になっている。英BBCは3人のシェフにインタビューを行い、その活用法についてWEBサイトに掲載している。

 タラ・モイーズ(@chefmoise_)はもともとレストランに勤務していたが、コロナ禍をきっかけにレストランを辞め、パーティなどで料理を提供する出張シェフとして独立した。

 タラ・モイーズがSNSを活用し始めたきっかけは、出張サービスの依頼を増やすために「SNSで”バズ”って有名になる作戦を考えた」ことだという。その作戦は見事にハマり、TikTokに自身のレシピや料理を投稿し続け、2年で55万を超えるフォロワーを獲得したのだ。ここまで作戦がうまくいくとは彼女も思っていなかったようで「こんなにすぐ50万人もフォロワーが増えるなんて驚いた」と語っている。

 TikTokで成功し、知名度が上がった彼女は毎月12~14件の出張依頼を受けており、それ以外にもTikTokのパートナープログラムである「クリエイターファンド」に認定され、インフルエンサーとしても収入を得ているとのことだ。

 カレン・ローゼンブルーム(@karens_cooking)もまた、TikTokで自身の料理を”バズ”らせることに成功した一人で、「豪華なチーズとハムのサンドイッチの作り方」を載せた動画が人気を博し、12万を超えるフォロワーを得ている。出張シェフとして活動する彼女は「自分のレシピが人気になって沢山の人に見てもらえれば、シェフとしての私にも興味を持ってもらえると思ったの」と語る。

 彼女はレストランの労働環境について「男性優位の世界だ」「多くの女性シェフが出張シェフとして働くことに目を向けている」としており、出張シェフとして独立することは「提供する顧客やメニュー、一緒に働くチームを自分で管理できる」ことが魅力だとしている。

 彼女の元には全米から毎月約20件もの出張依頼が来ており、それ以外に商品の宣伝などを飲食メーカーから依頼されることもあるそうだ。

 SNSで活躍するシェフたちの中には、料理を提供する出張シェフとしてではなく、完全にインフルエンサーとしての活動にシフトした人もいる。TikTokで190万人のフォロワーを持つブランドン・スキーヤー(@sad_papi)がそうだ。

 もともとは「料理長になることが憧れだった」というブランドン・スキーヤーは、10年間働いていた高級レストランを辞めたことについて「全く後悔していない。レストラン業界から離れてみて、月に2千ドルの給料で朝から深夜まで働いていたことがどれだけ異常なことだったか気付かされたよ」と話している。

 現在は主に食品や調理器具メーカーの宣伝や、TikTokやInstagram、YouTubeなどのSNSから得られる収入で生計を立てているとのことだ。ほかにも、レシピ開発などにも携わることで、以前よりも高い収入を得られているとのことで「労働時間は相変わらず長いけど、自由に働けるし、満足している」そうだ。

 世間のシェフの働き方の変化について、彼は「私のように、コロナの影響で働き方を変えた人は沢山いるだろうね。レストランで働かなくても、料理を作ってお金を稼ぐ方法は他にもあると気付いた人は多いと思う」と語っている。

 彼ら・彼女らのTikTokアカウントには沢山の料理やレシピ、解説の動画が投稿されているので、興味のある方は覗いてみてはいかがだろうか。

〈Source〉 https://www.bbc.com/news/business-60415367

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