世界の「割り勘」事情の違いから見えてくる“会計がスマートな国”とは?

世界の「割り勘」事情を紹介

アメリカで個人送金といえば「Venmo」

venmo
kakaopay

 個人間送金サービスとしてアメリカで特に普及しているアプリの一つが、「Venmo」だ。2009年にスタートアップが立ち上がり、2012年にPayPalの子会社となったVenmoは、2020年時点で4000万人のユーザーを抱えている。

 アカウント作成からお金の送金・受け取りまで、基本的なサービスには一切手数料がかからない。設定も簡単で、Venmoのアカウントに自分の銀行口座・クレジットカードまたはデビットカードを連携させることで、直接引き落とされる仕組みになっている(ただし、クレジットカードから送金・決済する際は利用時に3%の手数料がかかる。本人確認をしていないユーザーは、1週間の限度額が299.99ドルだが、本人確認を行えば限度は4,999.99ドルまで拡張される。普段使いの個人送金サービスとしては十分な額だろう。

 送金・受け取り相手の登録も手軽だ。相手のユーザーネームやEmail、電話番号、QRコードなどを調べたり、Facebookで友人同士のVenmoユーザーなら検索しなくても検索画面に一覧表示してくれる。

 アメリカで普及しているメッセージアプリは「WhatsApp」。WhatsAppは電話番号を交換することで友達登録を行う仕組みなので、日本と違って相手の電話番号をわざわざ尋ねなくても調べることが可能だ。となれば、目の前に居ない相手に送金をすることも面倒ではないだろう。最近では寮費なども家主のVenmoに送金するのが当たり前になってきているらしく、アメリカに留学する際にはWhatsAppとVenmoを準備するといいだろう(ただし、2022年2月時点でVenmoはアメリカの電話番号にしか対応していない)。

 日本でキャッシュレスが浸透しないことにはいくつかの原因が考察されている。例えば、キャッシュレス化が政府にとっても国民にとっても最優先事項ではないこと、地震大国としてこれまで何度も「全国的なネット通信の不具合」といった二次災害を経験してきたため、お金の手続きを完全にオンライン化することに不安を感じることなど、確かにどれも納得のいく視点だ。

 しかし、キャッシュを信用することとキャッシュに固執することは違うし、キャッシュの良い点を手放さずにキャッシュレス化にも柔軟に対応していくようでなければ、今度は世界経済についていけなくなってしまう。

 これらの視点に興味がないのだとしても、送金アプリのホーム画面に「経費で落とす」ボタンを組み込んでしまえば、現金主義の日本社会でも一気に“キャッシュレス割り勘”は広まるのかもしれないが。

(参考文献)
https://www.swish.nu/faq/private/?category=frequently-asked-questions
https://ja.wikipedia.org/wiki/Swish_(%E9%9B%BB%E5%AD%90%E6%B1%BA%E6%B8%88)
https://ecnomikata.com/ecnews/31311/#:~:text=%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%9B%E6%B1%BA%E6%B8%88%E5%88%A9%E7%94%A8%E7%8E%87%E3%81%AE,%EF%BC%85%EF%BD%9CEC%E3%81%AE%E3%83%9F%E3%82%AB%E3%82%BF
https://www.smbc-card.com/mem/hitotoki/column/sweden.jsp
https://www.forbes.com/advisor/banking/zelle-vs-venmo/
https://www.businessofapps.com/data/venmo-statistics/
https://hatchstudioinc.com/archives/40747
https://wise.com/jp/blog/how-to-use-venmo
https://help.venmo.com/hc/en-us/articles/209690188-Requirements
https://news.nicovideo.jp/watch/nw8942439

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