指輪で決済する「EVERING」はキャッシュレスを加速させる? シンプルなユーザー体験にこだわる理由とは

「EVERING」が加速させるキャッシュレスとは

 コロナ禍で非接触型のキャッシュレス決済が急速に広まっている。

 クレジットカード決済はもちろん、QRコード決済や交通系の電子マネー決済などは、お金を持たずして支払いを完了できるのが大きなメリットだろう。

 こうしたキャッシュレス経済が広がるなか、業界に新しい風を吹かせているのが、リング型ウェラブルデバイス「EVERING(エブリング)」だ。

 ファッションアイテムとしての役割と決済機能を兼ね備えたスマートリングであり、まさに近未来の指輪と呼べるものかもしれない。

 今回は同商品を販売する株式会社EVERINGの代表取締役CEOを務める川田健氏に、スマートリングを開発した背景や今後の事業展開について話を聞いた。(古田島大介)

指輪をかざすだけで決済できる新たなユーザー体験

 もともとEVERINGの親会社であるMTGが、2018年より英国に拠点を置くMcLEAR社をグループ傘下に収め、現地でスマートリングを発売していた。

 そして今年5月には満を持して日本展開を開始。

 初回先行予約分における3000個はあっという間に完売した。

 日本市場で好発進を切れた理由について川田氏は「シンプルかつ、今までにないユーザー体験を提供しているから」とし、次のように説明する。

 「スマートリングを日本国内で事業展開することは、コロナ禍の前から構想していました。世界的にキャッシュレスの波が押し寄せるなか、こと日本においてはキャッシュレスが遅れている状況です。スマートリングを世に出すことで、『指輪をかざすだけで決済が完了する』という新たなユーザー体験を創出し、非接触型のキャッシュレス決済の普及に寄与するべく2021年5月から本格稼働したのです。1日で3000個が全て完売したのは想像以上の反響でしたが、スマートリングへの関心の高さを改めて知るきっかけにもなりました」

日常の無駄を省く「Less is Smart」の価値観

 EVERINGの掲げるコンセプトに「Less is Smart」がある。

 “触れなくていい。待たなくていい。取り出すことも、しまうこともない。装飾はいらない。充電もいらない。決済について言えば、なくすことこそがこれからのスマート”

 暮らしのなかにある不便さや煩雑さを解消し、よりスマートで快適な生活を提供するために、EVERINGならではのエクスペリエンスをプロダクトに落とし込んでいるという。

 「複雑な操作や無駄な要素は削ぎ落とし、シンプルなUI/UXを追求しているのがEVERINGの大きな特長です。キャッシュレスの文脈だと、どうしてもスマホと連携させた世界に閉じられていますが、指輪(リング)というハードウェアを提供しているのが特徴だと思います。古来から装飾品として存在してた指輪であれば、ファッションアイテムとしても、あるいはウェアラブルデバイスとしてもユーザーの捉え方次第で日常に取り入れていただける可能性があると思います。

 また、プリペイド型の決済方法を採用しており、Visa、Mastercard、JCBや、アメリカンエキスプレスダイナースの国際ブランドのクレジットカードからも専用のスマホアプリを通じてチャージできます。要は複数枚登録しておくだけで、シーンに応じて使い分けられる。従来のキャッシュ決済サービスだと、提供企業が指定するクレジットカードに寄ってしまいますが、EVERINGは手元にあるクレジットカードで利用でき、広くあまねく使ってもらえる設計になっています」

不必要なアクションから解放されるライフスタイルを提案する

 そのほか、EVERINGには充電不要でウォータープルーフ (防水加工)、オートチャージの設定が出来るなど、多彩な機能を持っていて、ユーザーの多様なライフスタイルに応えられるように作られている。

 徹底的にこだわったのは前述した「Less is Smart」の価値観だ。

 「AIやIoTといった先進テクノロジーや企業が推進する産業のDXなどは、コンシューマーである我々が日常の中で感じることってあまりないのではと思っています。デジタル化が進み、生活がより便利になっている一方で、まだまだ無駄なこと、面倒なことも存在している。例えば、人によってはスマホを充電させたり、決済の時にスマホを懐から取り出したりすることを煩雑だと思っているかもしれない。こうした世の中に存在する『不必要なアクション』から解放されれば、もっとスマートにライフスタイルを送れるきっかけづくりができます。EVERINGの根底にある『Less is smart』の世界観を訴求し、新たな需要喚起をしていき、市場を生み出していくことが目下やっていくべきことだと考えています」

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