はじめしゃちょーがヒカキンに「休み」を提案 ゴールのないマラソンのようなYouTuberの葛藤

 YouTuberはゴールのないマラソンのようなものーー。これはトップYouTuberのヒカキンの言葉だ。

 YouTuber業界において人気を獲得し、それを維持するためには、YouTube全体で日々膨大な数がアップされる動画に埋もれないためにも、更新頻度を高く保つことが有効とされる。一時は「毎日投稿」がスタンダードな印象になるほど、YouTuberたちは積極的に動画投稿を行ってきた。YouTuberは一見自由な気ままな職業と思われるかもしれないが、そういった経緯を踏まえ毎日動画のネタを考え、撮影し、編集作業を行なっている。これが前述のヒカキンの言葉の意味するところだ。

ぼくたち、休みます

 2017年8月、そんな流れに異を唱え話題となったのが、ほかでもないヒカキンだ。ヒカキンは自身が運営するYouTubeチャンネル「HikakinTV」にて、はじめちゃちょーとフィッシャーズのリーダー・シルクロードをゲストに迎え、「ぼくたち、休みます」というタイトルの動画をアップ。「毎日投稿が基本という基準を作ってしまった自分たちトップ集団のYouTuberこそ休むべき。そうすれば、他のYouTuberも休むようになる」という旨のコメントを発表したのだ。

 このヒカキンのアクションに触発されてかどうかは定かではないが、その後も東海オンエア、おるたなchannel、アバンティーズ、北の打ち師達といったトップYouTuberたちが「お休み」を宣言した。ちなみに説明しておくと、「お休み」といっても重い話ではなく「リフレッシュするために休みは必要なのでは?」という提案のようなものだ。

 しかし、時を経ても「YouTuber=働き者」といった印象はあまり変化していないように感じる。特に昨年、「HikakinTV」単独でチャンネル登録者数1000万人を達成したヒカキンは、動画投稿を行いながら、本田翼、指原莉乃などといった芸能人とコラボを果たしたり、はじめしゃちょーと日本最大級の出前サイト「出前館」のCMに出演したりなど、大車輪の活躍を見せた。

ヒカキン。もうYouTube休もう。

 そんなヒカキンを心配したはじめしゃちょーが2月4日、「ヒカキン。もうYouTube休もう。」と題した動画をアップ。タイトルの通り、ヒカキンに対し「親分、少しYouTubeを休みましょう」と提案した。

 というのもはじめしゃちょー自身も昨年悲願のチャンネル登録者数1000万人を突破するために、精力的な活動を行った。その上で、今年頭に3週間ほど動画投稿を休止。さまざまなアニメを見る時間を作るなどで、リフレッシュを図った。

 そんなはじめしゃちょーは、1000万人を突破しても変わらず走り続けるヒカキンのメンタルを心配しているという。はじめしゃちょーは「僕は休めてよかった部分があるので、満を持して親分にも休みを勧めたい」と提案した。これを受けヒカキンは「今は休まない」と言いつつ「けれど、休みたくなったら休むかも(笑)。ハワイ行きてぇ〜」ともコメントしていた。

『週一の休みが欲しい』家族を持つメンバーの想いを代弁してヒカルに相談してみた

 また、ヒカルのチャンネルでも2月6日に「『週一の休みが欲しい』家族を持つメンバーの想いを代弁してヒカルに相談してみた」と題した動画がアップされ、ヒカルがスタッフのために休日を増やしたりと、トップYouTuberが休みについて話す機会が増えてきている。

 YouTuberにとって動画投稿とはファンサービスという面も大きいが、マネタイズというのも大きな意味合いを占めているだろう。YouTubeは動画再生回数に準じた収益を得ることができる。つまり、動画を出せば出すほど、リターンが増える可能性は大きくなるわけだ。仕事で関わる人も多いYouTuberは当然意識しなくてはいけない視点で、出した動画の再生回数が伸びなければ、不安にかられるというのも想像できなくはない。

 そしてなにより、クリエイターの疲弊する姿はファンの望むものではないだろう。適度な休みがいい仕事につながる、というのも普遍的な考え方で、インプットする時間がなければどうしても心がすり減ってしまう。

 動画を出したい、でも休みも必要ーー。このYouTuberの心の葛藤自体もゴールのないマラソンのようなものだといえるだろう。これから、YouTuber業界の労働環境はどう変化していくのか。今後も注目していきたい。

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