美術館に野外広告、住宅までNFTに……物理世界に進出するNFTコンテンツの現在

物理世界に進出するNFTコンテンツ

 NFTは、デジタルアート作品を希少価値のある物理的な美術品のように取引できる仕組みとして誕生した。この仕組みは元来デジタル空間内で完結しているものだが、最近では物理世界にも影響を及ぼすようになっている。以下では、NFTが物理世界に進出した国内外の事例を3つほど紹介する。

気候変動に配慮したNFT美術館

 アート系メディア『Surface』は1月17日、今年になってオープンしたアメリカ・シアトルにあるNFTアート専門美術館Seattle NFT Museumを紹介する記事を公開した。この美術館の最大の特徴は、NFTアート作品の展示に特化していることだ(トップ画像参照)。

 絵画や彫刻とは異なり物理的に存在しているわけではないNFTアート作品を展示するにあたって、同美術館には30を超える高精細なディスプレイが設置されている。ディスプレイの大きさは32インチから85インチまであり、縦向きと横向きの両方の展示に対応している。同美術館の公式サイトには、展示作品として以下のようなNFTアート画像が掲載されている(以下の画像を参照)。

 NFTが非難される要因として、この仕組みを維持するために大量の電力を消費し、環境に負荷をかけることが挙げられている。こうした非難に対処するために、相対的に電力消費が少ない運営方式であるproof of stakeモデルを採用。また、NFTアート作品は物理的な美術品のように展示室の厳密な温度管理が不要なため、むしろ環境に優しいとも主張されている。

野外広告枠をNFTとして販売

 仮想通貨事業を営むCoinPostは1月17日、NFT広告に取り組むBridges, Inc.らと協力して、野外広告枠をNFTとして販売する実証実験を開始すると発表した。

 アート作品やアーティストのファンが広告を出すことは「応援広告」という名前で浸透しつつあり、こうした動きはNFTアート界隈でも見られるようになった。例えば、NFTアーティストのApe Gang氏の作品がアメリカ・ニューヨークの繁華街であるタイムズスクエアの野外広告に表示されたことがあった(下のツイート参照)。

 以上のような野外広告の活用を目指して、Bridges, Inc.はNFT化された広告枠の出品・入稿・審査・売買を行うためのNFTマーケットプレイス「Kaleido」のベータ版を立ち上げた。同プラットフォームでの取引は、すべてスマートコントラクト上で行われる。今回の実証実験で販売される野外広告は、青山ストリートビルボードの広告掲載枠。広告は、2月7日から3月6日までの約4週間にわたり表示される。

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