NFTゲームはゲーマーに嫌われている? “稼ぐためのプレイ”に賛否両論集まる
昨年から急速に台頭してきたNFTゲームは、依然としてその是非をめぐりゲーム業界で論争が行われている。こうした論争の焦点となっているのは、NFTゲームのある特徴がゲームプレイの魅力を損なうかもしれないという懸念である。
「Play To Earn」はゲーマーに嫌われる?
アメリカ・イリノイ州にあるデポール大学の学生メディアDePauliaは1月9日、NFTゲームに関する動向をまとめた記事を公開した。その記事では、ゲームとNFTに関する最近のトピックが列挙されている。
ゲームとNFTの関係を象徴する最近の出来事として注目すべきは、大手ゲームパブリッシャーUbisoftが発表したゲームにNFTアイテムを導入するプラットフォームQuartzである。同社はこのプラットフォームを使ってNFTアイテムを販売したが、ほとんど売れなかった。
サバイバルアクションゲーム「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chernobyl」を開発するGSC Game WorldもゲームにNFTキャラクターの導入を発表したが、プレイヤーの反発に合ってすぐに白紙撤回した。
スクウェア・エニックスの松田洋祐代表取締役社長は、2022年の年頭所感においてNFTに言及した。同社長は、NFTゲームの特徴である「Play To Earn」(稼ぐためにプレイする)が楽しむためにプレイしている現在の大部分のプレイヤーに嫌われていることを率直に認めた。
このようにNFTをゲームに導入する試みは、今のところ、プレイヤーからの反発にあって思うように進んでいない。
NFTの導入にはルールが必要
前出のDePauliaの記事は、NFTをめぐるゲーム業界関係者の意見も紹介している。「World of Tanks」や「World of Warships」を開発したWargaming社のプロデューサーであり、ゲームデザインの非常勤教授でもあるデポール大学のJJ Bakken氏は、NFTはナンセンスなうえに環境破壊につながると語りNFTを断罪している。NFTが環境破壊につながるのは、NFTを実現する基盤技術であるブロックチェーンの維持に大量の電気を消費するためだ。
ゲームを開発しているデポール大学コンピュータサイエンス学部のある学生は、NFTをゲームに導入する試みは単に最新テクノロジーの動向に追従しているだけと述べたうえで、願わくはNFTが速やかかつ苦痛に満ちた死を遂げて、二度とゲーム業界に戻ってこないでほしい、と辛らつにコメントした。
一方でNFTのゲーム導入を支持する意見もある。デポール大学で情報システムを専攻するCody Kroliczek氏はNFTアイテムのコレクターであり、NFTは所有に関する既成概念を変えるポテンシャルがあると評価している。そして、ゲームにNFTを組み込むこと自体は基本的には良いことだが、NFTに関するルールを示して遵守することが大事、とも語った。
今後、ゲーム開発業者がゲームにNFTを導入する場合、プレイヤーが納得するようなルールを示すことが重要となるだろう。明確なルールもなしにNFTアイテムを提供しても、前述したようなプレイヤーからの反発を招くのは明白だ。