電動スクーターで転倒すると……?リスクをシミュレーションした研究結果がおそろしい

電動スクーターで転倒したリスクがおそろしい

 英インペリアル・カレッジ・ロンドンの最新の研究によって、電動スクーターのリスクが浮き彫りとなった。

 電動スクーターは昨今、環境に優しく手軽に利用できることから、急速な成長を見せているモビリティだ。しかし事故のリスクについての見解はさまざまで、国や都市によって、制限速度やプロテクター装着などのルールにはばらつきがある。同大学によれば、自転車ユーザーのヘルメット着用率は50%なのに対し、電動スクーターではわずか4%にとどまるという。また現段階では、電動スクーターの速度や仕様、そして道路状況と、ヘルメット着用の有用性が明確に示されたデータはないとのことだ。

 そこで研究者らは、3つの異なる体格をもつ人体モデルを用いた、計185パターンの事故をシミュレーションした。モデルはそれぞれ身長150cm、体重50kgの女性、 170cm、76kgの男性、190cm、101kgの男性で、25cmタイヤの電動スクーターにヘルメットなしで乗っていることを想定している。そして5段階の速度で、サイズの異なる12の地面の突起につまづいて転倒した際に受ける衝撃を計算した。

インペリアル・カレッジ・ロンドンより
インペリアル・カレッジ・ロンドンより

 その結果、低速であっても、転倒時にライダーが地面から頭部に受ける衝撃速度は、すさまじいものであることがわかった。走行速度を時速30kmから20kmに落とすと、衝撃速度は14%低下し、衝撃力は12%低下するものの、シミュレーションしたすべての速度において、頭蓋骨骨折のしきい値に達したという。

インペリアル・カレッジ・ロンドンより
インペリアル・カレッジ・ロンドンより
インペリアル・カレッジ・ロンドンより
インペリアル・カレッジ・ロンドンより
インペリアル・カレッジ・ロンドンより
インペリアル・カレッジ・ロンドンより

 これまで自転車やバイクにおけるヘルメットの有用性については数多く研究されてきたが、電動スクーターではまだ追いついていないのが現状だ。今回の研究を主導したマズダック・ガジャリ博士は、「私たちの研究は、電動スクーターのライダーが受ける衝撃に耐えられる、特別に設計されたヘルメットを開発する必要性を強調している」と述べた。

 世界各国で人気の高まる電動スクーターだが、利用には万全の安全措置を講じる必要がありそうだ。

(画像=Pixabayより)

〈Source〉
https://www.imperial.ac.uk/news/233378/escooter-simulations-highlight-head-injury-risk/
https://giphy.com/clips/imperialcollege-mpORlr0D5pyK3klf7i
https://techxplore.com/news/2022-01-e-scooter-simulations-highlight-injury-riders.html

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