タバコの吸殻に名前をつけて“いいね”がもらえる? 「ポイ捨て図鑑プロジェクト」の真相とは

「ポイ捨て図鑑プロジェクト」の真相

 「ガリ勉マジック」に「なつの終わり」-ー。街中に捨てられたタバコの吸い殻にユニークな名前を付けて撮影し、捨てられた場所とともに投稿・拡散する「ポイ捨て図鑑プロジェクト」。集まった「いいね」の数に応じて商品がもらえるとあって、SNS上で話題を集めている。

 仕掛けたのは東京都内6カ所で公衆喫煙所「THE TOBACCO」を運営する株式会社コソド。受動喫煙やポイ捨てを少しでもなくそうと公衆喫煙所を運営している同社は、今回のプロジェクトに「ポイ捨てを減らすための社会の意識を高めたい」「新たに喫煙所を設置する上での需要が高い場所のデータ取得がしたい」という二つの思いを込めていた。

問題意識を持ち、楽しく動いてもらう仕掛けづくり

ポイ捨て図鑑プロジェクト

 プロジェクトへの参加は、街中に捨てられたタバコの吸い殻を撮影し、好きな名前を付けて位置情報と一緒に専用ページに投稿することで完了する。投稿はツイッターやフェイスブックと連携してシェアできる。投稿に集まった「いいね」の数をランキング化し、上位3人に計20万円分のAmazonギフト券が贈られる。12月7日に始まったプロジェクトの期間は2022年2月28日23時59分までで、投稿対象エリアは都内の豊島区、新宿区、文京区、渋谷区、世田谷区、港区、中央区、千代田区の8区だ。

 プロジェクト立ち上げの背景にあったのは、まずポイ捨てを減らすために社会の意識を高めるためだった。株式会社コソドの代表取締役CEO・山下悟郎氏は立ち上げの経緯について以下のように語る。

 「2020年に施行された『改正健康増進法』によって、飲食店を中心に多くの喫煙所が閉鎖されました。それに伴い、喫煙者と喫煙できる場所の需給バランスが崩れ、多くの喫煙難民があふれてしまい、その結果、路上喫煙やポイ捨てが数多く見られるようになりました。ポイ捨てをなくすには、みなさんの意識をよりポイ捨てに向けていただくことが大切だと、実際に公衆喫煙所の運営や喫煙関連マーケティングを行っていく中で実感し、プロジェクトの企画にいたったんです」

ポイ捨て図鑑プロジェクト
モンスターイメージ

 ポイ捨てを減らすために取り入れられた要素がゲーム性だ。街中に捨てられた吸い殻を「喫煙所に戻れず迷子になった吸い殻モンスター」と位置づけ、その状況を可視化。捕まえた吸い殻に名前やストーリーをつけて投稿していくことで、まるで図鑑を完成させるような面白さが生まれる。「吸い殻を拾い集めて参加しましょう」と道徳的な要素を前面に出して参加を促しても、心理的なハードルは高くなりがち。ゲーム性を盛り込むことで人々に楽しく動いてもらいながらポイ捨ての問題を意識させ、解決させる仕組みを生み出した点が秀逸だ。

 「ポイ捨てをなくすためにはみんなの意識をよりポイ捨てにむけていただく。参加してもらうことで喫煙者だけではなく非喫煙者も、吸い殻は喫煙所に戻すべきであるといった意識を高めることができるのではないかと考えております」(山下氏)

 変化の兆しは生まれている。プロジェクト開始から2週間余りで投稿数は400を数えた。12月11、12の両日は渋谷でプロジェクトのPRイベントを開催。400人の参加者のうち、8割が非喫煙者であったことに加え、若いカップルや当初想定していなかった20代前半の女性も多数参加したという。

 「参加者からは『ゲーム感覚で気軽に社会貢献に参加できて楽しい』『喫煙者ではないけど吸い殻に注意を向けるようになった』といった声をいただいており、興味のなかった人たちに興味をもってもらうという狙いが達成されていると思いました」(山下氏)

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