連載「音楽機材とテクノロジー」第9回:Kan Sano
Kan Sanoが語る音楽制作と機材 宅録で作る“生のグルーヴ"とサウンドの軌跡
Kan Sanoにとっての“鉄板”プラグインとは?
ーーKan Sanoさんが選ぶ、オススメのソフトシンセとは?
Kan Sano:僕はソフトシンセ初心者なので、そこまで詳しくないですが…… KEYSCAPEを今年から使っていて、「これめちゃめちゃいいじゃん!」と思いました。
ーーSpectrasonicsが出している商品ですね! Anomalieが来日したときにオープニングアクトをやらせてもらったのですが、KEYSCAPEを使っていて、音がすごく良かったです。
Kan Sano:あと、これは友人に教えてもらったのですが、Vitalという無料のシンセがあって。トラップ以降のシンセという感じで、最近リミックスの曲でいくつか使用しています。
ーー私にはドラムのバスにかける定番プラグインだったり、ボーカルの定番チェーンがあるのですが、Kan Sanoさんもそういう「自分にとっての定番」はあったりしますか?
Kan Sano:これも友人に教えてもらったのですが、Acustica Audioの「Coffee 'The PUn'.」というEQを使っています。これもフリーのプラグインですが、結構ガッツリかかるし、少しアナログっぽい質感も出るんですよね。ドラムやベースを太くしたい音には全般的に使っています。あとはValhalla Super Massiveというフリーのリバーブも使っています。
ーーいま持っているもので、「音楽活動を始めた当初から持っていればよかったのに」と感じるものってありますか?
Kan Sano:『GENELEC 8020』のモニタースピーカーですかね。今はこれを使っているのですが、多分『k is s』ぐらいまでは、YAMAHAのモニタースピーカーを使っていて。昔からスタジオの定番と言われているやつを使っていたのですが、僕は低音を出す音楽を作ってるんで、それでモニタリングするには限界があって。だからビートミュージックを作っていた『Fantastic Farewell』の時に、GENELEC 8020を使っておけば良かったなと思います(笑)。
Kan Sano:もう一個『FOSTEX NF04R』というスピーカーも持ってるんですけど、こっちはリスニング用に使ってますね。やはり、GENELECの方がミックスしやすいです。見た目もいいし、音もいいんですけど、ミックスよりレコードを聞いたりするときに使います。
ーーなぜこれではミックスされないのですか?
Kan Sano:細かいところまで聞き取る場合、GENELECの方が使いやすい気がします。
ーー作っているジャンルによってスピーカーの相性ってありますよね。ちなみにヘッドフォンなどはいかがでしょうか?
Kan Sano:ヘッドフォンも、僕はずっとスタジオの定番である『SONY TD-900』を使っていたのですが、低音がちょっと聴きづらい感じがあって。もちろんこれも音はかなり良いのですが。今は『Sennheiser HD599』を使っていて。フィット感もあるし、耳が疲れない感じも良いです。
ーー私は海外アーティストのインタビューをすることが多くて、これは全員に聞いている期待の質問です。「これから頑張るぞ!」みたいなアーティストとか、これから音楽作りたいという人に対してアドバイスはありますか? 「音楽制作はハードルが高い」と思っている人や、Kan Sanoさんのファンが、このようなインタビューを読んで「自分も作ってみたい!」とインスピレーションになればいいなと。
Kan Sano:いまは音楽制作の敷居がどんどん下がってきてると思うんですよね。もうMacbookを買えば最初からGarage Bandが無料で入っていて、割としっかり作れちゃうんで。もし僕が10代だったら、とことんGarage Bandを使い込んでると思います。要は「その限られたものでも、一つのものでも、とにかくそれを使い倒して、自分で工夫して使ってみる」っていうのが一番大事だと思います。選択肢がたくさんあるっていうより、限られたものを与えられて、そのなかで自分で工夫して使ってみる、という使い方の方が鍛えられるし、力量が試されると思います。例えばGarage Bandだけでも、多くのことをできる可能性が充分にあるので。今から作る人に言えることはそんな感じですかね。
ーー音楽制作や表現について、ハードルが高いと感じている人は多いと思います。Macが必要だとか、このインターフェースを買わないといけないとか。その中でKan Sanoさんも、最初はラジカセで作っていたり、MTRを使っていた経験があったり、それで鍛えられたと思います。シンプルに最初はハードルが低く、楽しい方が長続きすると思うので。
Kan Sano:そうですね。
ーー「何かしら作れた!」という成功体験が重要なのかな、とKan Sanoさんのお話を聞いていて思いました。小学校時代に曲を作り始める人って滅多にいないと思うんですよ。でも小学生のころに「曲が作れた!」という、自分自身のこだわりとか喜びがあったことが今に繋がっているというところが読者に伝わったらいいな、と思います。
Kan Sano:ありがとうございます!
ーーありがとうございました!
ライブ情報
2021/12/5(日) @渋谷クラブクアトロ TRI4TH 15th Anniversary “GIFT” Release LIVE [チケット販売中]
https://tri4th.com/news/1028/
■ 日程 2021. 12. 5 (sun.)
■ 会場 渋谷クラブクアトロ
■ 出演 Kan Sano / TRI4TH /ASOBOiSM
■ 料金 ¥5,000(税込/ドリンク代別)/全自由整理番号付き ※未就学児童入場不可
■ チケット
□イープラス
2021/12/15(水) @広島クラブクアトロ HIROSHIMA CLUB “Q”UATTRO 20th Anniversary “New Now” BABY Q 広島場所 [先行チケット販売中]
https://day-off.today/hiroshima2021/
■ 日程 2021. 12. 15 (wed.)
■ 会場 広島クラブクアトロ
■ 出演 Kan Sano / 田島貴男(Original Love) /TENDRE / 塩塚モエカ
■ 出演 OPEN 17:30 / START 18:00
■ 料金 ¥6,800(税込/ドリンク代別)/全席指定
■ チケット
□イープラス