映像作家・林響太朗が語る『おかえりモネ』OP&主題歌MVの制作秘話

映像作家・林響太朗が語る制作秘話

 昨年に引き続きコロナ禍の影響から、今年も各国オンライン同時開催となった『Adobe MAX 2021』。本稿では各セッションから、映像監督・写真家の林響太朗による「林響太朗が紡ぐ世界 アーティストに共鳴するクリエイティブ」の模様から一部を記す。

企画のパターンは色々 自分の解釈を深めるために大事なこと

“Thinking Better” Ryu Matsuyama

 林が、会社に入った経緯は、もともと新卒でCGクリエイターとしてだった。以前から写真や実写をやってみたかったが、たまたまRyu MatsuyamaのMV「Thinking Better」を制作することができ、そこからだんだん実写の世界に入っていった。

 プロジェクトを担当した当初は、「全部自分でやらないといけない」と思っていたが、最終的に友人を巻き込みで撮影を行った。手伝ってくれた人が一丸となり物づくりに取り組むさまが面白かったという。その後の編集作業に関しても、当時は写真の仕事をメインに行っていたこともあり、Lightroomを使ってどのように色味をいじるか考えながら作業をすることに熱中していったと振り返る。

 企画の立ち上がりは、音楽がすでに定まっており、いつまでに作ってほしいという場合や、音楽が未完成の状態から相談が来ることなどさまざま。

 まずは思いを聞いてほしいというのを伝えて、実際にアーティストと会うこともあるし、相手が忙しい場合は曲を聴いて考えてから提案することも。どの場合でも、自分の中でどのようにオリエンテーションを噛み砕いてプレゼンテーションするを第一に考えており、まずインプットとして声を聞いてみることを重要視している。

 MVや広告も共通して、自分の色を出したいと思っているつもりはなく、漠然としたイメージに対して、自分なりにどう応えられるかを大事にしているとこだわりを明かした。

『おかえりモネ』OP映像 BUMP OF CHICKEN「なないろ」MV

 林は、2021年前期朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK総合)でオープニングを手掛けた。大河ドラマ『八重の桜』(NHK総合)でタイトルバックの花吹雪をのCGを林が担当した経験からNHKの仕事も始まったという。

 映像を作るにあたり、まず脚本を読み、そこから出てきた「自然は全て水からできている」とか「循環」とかいう言葉から導き出して、企画を考えていったと振り返る。資料を見ながら話を要約していくと、自分の中で「めぐりめぐる」とか「四季折々」とかいう言葉が出てきたり、自然の色、空の色、太陽の色、緑の色、色んな色が混ざり合ってぐるぐる回っているような全体のイメージを思いついたという。

 林は、作品に携わる際は、最初にどういう思いで作っていきたいか、脚本からどういうように考えたのかを自分なりに手紙にしている。

 主演の清原(果耶)さんにも読んでほしかったとのことで、事前に送った上で企画をブラッシュアップし、気仙沼のどこで撮影を行うか綿密に打ち合わせし、基本的には最初に出した企画を軸にして作っていく方向性になったという。

BUMP OF CHICKEN「なないろ」

 『おかえりモネ』の主題歌「なないろ」のMVも林が担当。MVを作るときも楽曲への思いが一番大事なので、BUMP OF CHICKENの藤原(基央)たちと会い、思いを汲み取るキャッチボールをしようという意識があったという。まず、歌詞に合わせて2本の線を描いた。自分のとってはこれが絵コンテみたいなもので、最初は男女だった。

 捉え方によっては自由にできるので、全然別な愛の話でもいいし、それなら男女でなくてもいい、同性でも同一人物でもいいみたいな話をした。どんな人に出てもらうのかが重要になることもあり、そこで双子のような存在は神秘的でもあるし、別の人なのに2人で並んでいると、どちらがどちらだか分からなくて不思議な感覚になる。本人たちも、「そういう思いがあったりするかも」といったことを言いながらキャスティングを進めて行った。

 自分の中でどのように納得したのかが重要だと思うので、「こうしていこう」と一緒に話すのを大事にしている。『おかえりモネ』に「全ては水につながっている」という言葉が出てきているが、一つひとつの雨粒が隣同士でくっつきあって、また大きな水玉になるというのは、離れ離れな自分の感情が1つに集約されることのメタファーになっている。



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