『スーパードンキーコング3』の陰に隠れし不思議な力作『ドンキーコングランド』 発売25周年を機に振り返る

陰に隠れた力作『ドンキーコングランド』

技術が発展した今の時代ゆえ、その輝きが増している力作

 若干、話題から脱線するところもあったが、『ドンキーコングランド』がゲーム内容外の部分に興味深い話題を持ちあわせた作品だったことはおおよそ察せたかもしれない。その話題性以外でも、本作はゲームボーイにおいて原作とは全く別の『スーパードンキーコング2』を作り上げた点で、独特の価値を持つ作品にもなっている。

 それは後年、ゲームボーイアドバンスの原作の移植&アレンジ版、さらにその後の原作そのものを携帯機で遊べるNewニンテンドー3DS専用のバーチャルコンソール版が発売されたことが物語る通りである。Nintendo Switchの『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』でも『スーパードンキーコング』3作は配信されていて、いまやこのシリーズは携帯しながら普通に遊べるようになっている。ゲーム機の性能面でも、『ドンキーコングランド』が行った制約を踏まえた対策を取る必要もなくなっている。

 それゆえ、制約を踏まえながら”もうひとつのスーパードンキーコング2”を作り上げた『ドンキーコングランド』の価値はより一層輝きを増しているのである。

 原作にはないコースの存在、制約がある中で可能な限り再現し尽くしたグラフィック、そして独自のアレンジを施した音楽が味わえるのはこの『ドンキーコングランド』の特権。その価値と魅力は恐らく、これから先も決して色あせることはないだろう。

 2021年現在も『ドンキーコングランド』はニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで販売中だ。その前の『スーパードンキーコングGB』、後の『ドンキーコングGB ディンキーコング&ディクシーコング』も同様に購入できるようになっている。

 大ヒットを記録した『スーパードンキーコング3』に注目が集まるであろうこの中で、『ドンキーコングランド』を遊んでみるのも、なかなかに”オツ”なものだ。

 当時、『スーパードンキーコング3』のほうに視線を向け、こちらは素通りしてしまった方もあえてこの機会に遊んでみてはいかがだろうか。本家の新作に隠れし力作にして、唯一無二の体験が詰まった逸品を改めて体験してみよう。

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