『電音部』1st LIVEにみた、音楽主導コンテンツとしての強靭さ
ちなみに2日目公演では、アザブ → シブヤ → ハラジュク → アキバと、ラストを除いて初日とは逆の流れでセットリストを構成。また、神宮前参道學園の「悪魔のララバイ」と新曲「Distortion」、帝音国際学院「Let Me Know」、港白金女学院「Love me harder」、外神田文芸高校「pop enemy」といったように、各ユニット曲を初日からそれぞれ変更してきたとだけ簡単に触れておきたい。
ライブ終盤は“ALL AREA STAGE”として、全4組が再びユニット曲で魅せる。港白金女学院が2000年代R&Bをベースとした「Where Is The Love」で3名の優れたボーカル力を示すと、神宮前参道學園がウィスパーボイス×高速ハイハットのトラップチューン「Hyper Bass」でまたしてもその場をかき回す。同楽曲は『電音部』公式Twitterにて、“地響きで揺れるペットボトルの水”の映像を通して、その低音の威力が紹介されていた。そんな笑い話もありつつ、ラストはキャスト全員で外神田文芸高校「Hand Over」を歌いながら、音楽を通して“手と手を結び合った”ところで、この日のライブは大団円を迎えた。
良質な音楽あるところに、良質な楽しさあり。もはや“正義”ともいえる楽曲の強さに、メンバーとダンサー陣のパフォーマンスがあわされば、特殊な効果演出などを用いずとも、観客をこれほどまでに踊らせられる。この日の『電音部』は、そう教えてくれた。誰もが求める“至難”を、この作品は初回から高い次元でこなしてしまったのだ。総括するに『電音部』という作品が、この時代におけるあらゆる強靭さを兼ね備えているのだと、楽しさと熱量をもって知らしめられる一夜だった。