LAM×まらしぃ対談 2人がイラストとピアノで提示した「クラシックへの“アンサー”」

LAM×まらしぃ対談 2人がイラストとピアノで提示した「クラシックへの“アンサー”」

 3月に発表された、クラシック楽曲をモチーフにした少女たちが戦う新プロジェクト『takt op.(タクトオーパス)』。TVアニメ・ゲーム展開が予定されているほか、YouTubeではプロジェクトPVやキャラクターPVが公開されている。

 クラシックという壮大なモチーフもさることながら、キャラクター原案にLAM氏、キーピアニストにまらしぃ氏を迎えたことも話題に。数々のアートワークやVTuberデザインなどを手掛け注目を集めているイラストレーター・LAMと、ネット発のカルチャー「弾いてみた」の最前線で10年以上活躍し続けているピアニスト・まらしぃ。イラストとピアノという、普段は異なる世界で活躍する二人だが、互いにどんなイメージを抱いているのか。また『takt op.』の制作話やお気に入りのキャラクターまで、幅広く語ってもらった。(ヒガキユウカ)

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※インタビューは新型コロナウイルス感染症対策を徹底して実施しています。
※マスクを外した撮影も、空間内を最小人数かつ適切な距離を取った形で行いました。

以前から尊敬し合っていた二人の初邂逅

LAM:ずっとお会いしたかったです。まらしぃさんが「ネイティブフェイス」の弾いてみたでニコニコ動画デビューした頃から、リアルタイムで見ていました。僕はもともと東方Projectが大好きで、当時は特に東方アレンジが盛り上がっていた時期でもありましたし。

まらしぃ:ありがとうございます。僕とLAMさん、まさかの同い年なんですよね。

LAM:そうなんです。僕、初めてここで年齢を発表するんですけど、平成2年生まれなんですよ。恥ずかしながら今回ご一緒するまで、まらしぃさんは6つ上くらいかなあと思ってました(笑)。

まらしぃ:僕がLAMさんを最初に認識したのは、多分4年くらい前ですね。もともと僕も同人音楽が好きで、界隈に知り合いも多かったので、いろいろなCDジャケットを手掛けられているのを見ていました。

LAM:となると多分、イラストレーターの仕事を始めたての頃か、まだ会社員をしながら、半ば趣味的に創作をしていた頃かもしれません。

まらしぃ:LAMさんのイラストは、特に目元が大好きなんです。最初に見たときはもう強烈でしたし、それ以降LAMさんと知らずに作品を見るときにも、「あれ、もしかしてLAMさんの絵かな」とすぐ気付くんですよね。絵そのものに記名性があるというか。

LAM:ありがとうございます……! それこそ、まらしぃさんが楽曲を担当された車のCM、僕は聴いたときに一瞬でわかりましたよ。起用されていると知らなかったんですけど、偶然テレビで流れた瞬間「はっ!?」と思って(笑)。自分は楽器ができないんですが、まらしぃさんの演奏動画を見ていると、「楽器というアイテムをこんなに使いこなせる人類がいるんだ」と思いますね。

クラシック楽曲をアレンジ・キャラクター化するということ

『Takt op.(タクトオーパス)』プロジェクトPV

――今回お二人が参加されている『takt op.』は、クラシック曲をキャラクター化する試みです。クラシックという題材を聞いたとき、第一印象はいかがでしたか?

LAM:僕は素直に「あ、頭いい!」と思いました。やっぱり日本は擬人化やキャラクター化が好きな国じゃないですか。それこそ過去の偉人もそうですし、有機物、無機物、概念……何から何までキャラクターとして愛せる才能を持つ人が多い。その中で音楽、特にクラシック曲をキャラクター化したコンテンツは見たことがなかったから、純粋に「面白そうだ」と感じましたね。

 ただその後に、恐れ多さも追いついてきました。だって世界中の人が知っている曲をキャラクターにして、しかも戦う存在として顕現させるわけですから。そのプレッシャーが後からきて、ワクワクとドキドキと不安で一杯でしたね。

まらしぃ:プレッシャーは正直ありましたね。題材の偉大さもそうですし、たぶん世の中の音楽クリエイターに、全く同じオーダーでクラシックのアレンジを依頼したら、全員違うものが出てくると思いますし。

 ただ、だからこそ「僕はこれが良いと思いました」というものを、ちゃんと出せるかどうかだなと思っていました。それが気に入ってもらえるかは、また次の段階の話ですけどね。

――楽曲のアレンジはどのように進めていったのでしょうか?

まらしぃ:まずはLAMさんのキャラデザを見て、「どんな子なんだろう。あ、意外とこんな一面もあるんだな」と想像を膨らませていきました。頭の中で僕なりのイメージを作るんです。たとえば“運命”なら、彼女は凛としていて、ほんのちょっとだけ無邪気な部分を持ち合わせつつも、戦場では美しく立っているような。そこからアレンジの方向性を決めつつ、一方で素の部分・ギャップの部分はここに入れてみようとか。

LAM:最初、「運命」をアレンジすると聞いたときにどうなるのか全く想像がつかなかったし、まらしぃさんがどう向き合うのかとすごく気になっていたんですよ。かなりキャラデザや世界観に寄り添って作ってくださったんですね。

まらしぃ:僕は子どもの頃にクラシックピアノを習っていたんですけど、「楽譜通りに弾きなさい」とか「作曲者の意図を考えて」といつも言われていて。反抗期な僕は「なんで好きに弾いちゃいけないんだ」と先生に反発していたんですけど、でも今『takt op.』でやっていることは当時のそれと同じなんですよね。時代背景や作曲者の意図、楽譜を読み解いて、「この音が入っているのはどうしてなんだろう」と一つひとつ考えていく。結果的に昔と同じ所に行きついたので、すごく不思議な気持ちもありました。

LAM:そうだったんですね。今日まさに、まらしぃさんが何歳からピアノをやられているのか聞こうと思っていました。

まらしぃ:クラシックピアノは4歳から習っていて、親にも先生にもすごく期待してもらっていたんですけど、中学2年生ぐらいの頃に先生に反発してやめちゃったんです。それから大学生で「弾いてみた」活動をやるようになるまで、ピアノ自体触っていなくて。

 ただ子どもの頃に頑張っていた10年間と比較して、2008年に再開してからの方が長くなったんですよね。それでそろそろクラシックも、もうフラットな気持ちでやれるんじゃないかなと思い、2019年の12月に『ちょっとつよいクラシック』というアルバムを出させていただいたんです。

――もしかして、『ちょっとつよいクラシック』を手掛けたことが、今回の『takt op.』につながっているのでしょうか?

まらしぃ:そうですね、収録曲に「ちょっとつよい運命」があって、それをDeNAさんが聴いてお声がけくださったみたいです。

LAM:そうだったんですね。『takt op.』は音楽をテーマにしたコンテンツなので、どなたが担当されるのかな、とはぼんやり思っていたんですよ。まらしぃさんの名前をお聞きして、驚くと同時に「まらしぃさんなら間違いないな」とすごくうれしくなりました。

 今回は、まず僕がクラシック曲をキャラクター化して、まらしぃさんがそれに合わせて原典をアレンジしてくださる、という進め方だったじゃないですか。でも僕は最初「まらしぃさんが書いた曲を聴いて、僕がそれに合わせてキャラクター化した方がいいのかな」と思うこともあったんですよ。もしくは同時進行とか。

まらしぃ:あ、そうだったんですか?

LAM:というのも、僕がキャラクターデザインを先に仕上げて「これでよろしくお願いします」と言ってしまうのって、ちょっとずるい気がして。

 でもまらしぃさんの音源を聴いた瞬間、その考えが完全に吹き飛びました。まらしぃさんの消化の仕方が素晴らしくて、完璧に仕上げていただいたなって。僕がイメージした“運命”にまらしぃさんの「運命」が加わって、現代のキャラクターソングにしっかりなっている。未発表の他の楽曲たちも聴かせていただいたんですけど、キャラクターたちが動いている姿が本当にありありと浮かびました。

『Takt op.(タクトオーパス)』キャラクター紹介PV 運命

まらしぃ:よかったー(笑)。ありがとうございます。

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