「芸能界=政治の話はNG」のタブーを破る動画・VOICE PROJECT 仕掛け人に狙いを聞いた

菅田将暉ら出演「投票促進動画」制作の意図

 10月31日に控えた衆議院選挙。消費税増税以降、コロナ禍以降、初の衆議院選挙ということもあり、大きな注目を集めているが、若者の心境はどうだろうか。

 選挙が近づくと若者の投票率の低さが問題視されるように、前回(2017年)に行われた衆議院選挙の投票率は上の世代と比較すると、若い世代の投票率は顕著に低い。とりわけ20代(33.85%)の投票率は全体平均(53.68)を大きく下回り、“若者の政治の無関心”は深刻である(参考:総務省HP)。

 今回も若者の投票率の低さが危惧される中、10月16日に自主製作プロジェクト「VOICE PROJECT」がアップした動画「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」は、その風向きをガラリと変えるかもしれない。

VOICE PROJECT 投票はあなたの声 (秋元才加 安藤玉恵 石橋静河 小栗旬 コムアイ 菅田将暉 Taka 滝藤賢一 仲野太賀 二階堂ふみ 橋本環奈 前野朋哉 ローラ

 同動画は、菅田将暉や橋本環奈など、若者から絶大な人気を誇る有名人が、政治について個人的なコメントを残す。最後は投票に行くことを促す内容となっており、若者の投票率アップを期待する声が多数寄せられた。なにより、“芸能界=政治の話はタブー”という風潮を打開するメッセージ性の高い内容だったこともあり、公開後から現在まで大きな反響が寄せられている。

 市民プロジェクトでありながら、ここまで大々的なインパクトを与えた動画を手掛けた「VOICE PROJECT」の映像作家・関根光才氏、映像プロデューサー・菅原直太氏という2人の仕掛け人に、動画制作の狙い、選挙への思いなどを取材した。

芸能界の風通しを良くしたい

――この企画を考案した背景をお聞かせください。突発的に思いついたのか、以前から温めていたのか、どちらでしょうか。

VOICE PROJECT:日本における投票率の低迷に関しては前々から、かなり心配していました。著名な俳優さんにこういうメッセージを発信していただくこと自体、ずっと前から考えていたことではあります。今回、コロナ禍を経て、アクションすべきタイミングだと感じました。

映像作家・関根光才氏
映像作家・関根光才氏

――同動画からは「投票に行こう」「政治を語りやすい空気を作りたい」など、様々なメッセージを感じました。この企画を考案した際、どのような思いが一番強かったのですか?

VOICE PROJECT:まさに「投票に行ってほしい」という最も大きな願いとともに、「政治や宗教の話はタブー」と決めつけ、日常会話に一切話題に上がらない日本の空気感。それに紐づいた、芸能界における意見表明のしづらさ、息苦しさを、もっと柔らかく、風通しのいい状態にしていきたいという思いがありました。

投票に行く人がカッコいい社会を

――滝藤賢一さんの「ぼくは投票に行っている人がカッコいいと思います」というセリフが印象的ですが、この動画を通して“投票”をどのように捉えてもらおうと考えていますか?

VOICE PROJECT:「投票に行くことがカッコいい」とか、「リスペクトされるべき行為」と広く認めている社会のほうが、それを冷ややかな目で見つめている社会よりも温かく幸せだと私は思います。民主主義の基本は、市民ひとりひとりの政治参加。その最も基礎的なアクションが投票です。その責任を誰かに押し付けたり、逃げたり、放棄したりするのではなく、「キチンと政治と向き合っている人のほうがカッコいい」とアップデートすれば、もっとみんなが投票に行きやすい社会的背景を醸成できる、という思いを込めて動画を制作しました。

映像プロデューサー・菅原直太氏
映像プロデューサー・菅原直太氏

――ただ単に「投票しましょう」と呼びかけるのではなく、最初に各出演者が自分の思いを語った後に投票を促す構造にした狙いを教えてください。

VOICE PROJECT:もともと、できるだけ「わたし」を主語にした語り口の映像にしようとは考えていました。「みんなで投票に行きましょう」と主語を第三者にして、誰かをジャッジしたり、誰かを批判して一方的にメッセージを押し付けたりするのではなく、一人称の語りであるほうが、見る人に疎外感を与えないと思ったので。

――各出演者のコメントは事前に用意したものなのですか?

VOICE PROJECT:一応、こちらで用意していた言葉もありました。ただ、みなさんにフラットにインタビューさせていただいた時の「わたしはこう思っている、感じている」という言葉のほうがとても素敵で心に響くものだったので、そういった言葉を中心に構成することになりました。

――「芸能界=政治の話はタブー」という風潮が、なにかしら動画制作のネックになることはありましたか?

VOICE PROJECT:「この呼びかけに参加したい」と集まってくださったみなさんは、すでにその話をするつもりで来てくださっているので、そういった風潮が邪魔をすることはありませんでした。単純に、「政治にそこまで詳しくない自分が何か話してもいいのだろうか」といった迷いは、感じられている人もいたかもしれません。それでもあえてみなさんがお話してくださったことで、親近感を覚える若い年齢層の方もいたのでは、と思っています。



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