クリムトの白黒写真の絵画をAIがカラーで再現 Googleのプロジェクトの一環で

火事で失われたクリムトの絵画をAIで再現

 アート作品が楽しめるプラットフォーム、Google Arts&Cultureが、オーストリアの画家、グスタフ・クリムト(1862 – 1918年)にフォーカスしたページをオープンした。このページでは、専門家が執筆した学術記事とともに、クリムトの伝記や作品を鑑賞できる。

 そして取り組みの一環として、GoogleはAIを使用し、白黒写真しか残っていなかった作品をカラーで再現する試みを行った。

 1894年、クリムトはウィーン大学から講堂の天井画制作の依頼を受け、「哲学」「医学」「法学」の3つの絵を描いた。しかし当時の大学関係者からは「性的だ」で「学びの場にはふさわしくない」と評され大論争を巻き起こし、最終的に契約は破棄されることに。その後は個人に買い取られている。 しかし1945年、第二次世界大戦のさなかに絵画は火事で消失し、現在は白黒写真しか残っていない状態だ。

 今回のプロジェクトでは、オーストリアの研究機関、Belvedereの学芸員、フランツ・スモーラ氏と、Google Arts&Cultureのエミル・ウォールナー氏が中心となり、色を正確に再現できるアルゴリズムの開発を目指した。

Google Arts&Cultureより
Google Arts&Cultureより

 スモーラ氏のチームは、クリムトの作品を調査し、特に色に関する説明がなされた資料を探した。次に、「哲学」「医学」「法学」に描かれたモチーフと、同時期に描かれた他の作品に見られるモチーフとを比較した。たとえば、「法学」の3人の女性は、「ベートーヴェン・フリーズ」 (1902)に似た蛇に包まれているなどの類似点が見られる。この工程は、色の再現に大いに役立ったそうだ。

 一方、ウォールナー氏はクリムトの着彩スタイルを分析するための機械学習を進めていった。実世界の写真100万枚で肌や空の色彩感覚を、多様なアーティストの作品の画像約10万枚で、構図、線、テクスチャーなどの特徴を学習。そして初期データセットにクリムトの絵画80作品を追加し、そのスタイルを研究した。これらのプロセスを経て、カラーでの再現を実現させたそうだ。

Google Arts&Cultureより
再現前の「哲学」|Google Arts&Cultureより
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再現後の「哲学」Google Arts&Cultureより
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再現前の「医学」|Google Arts&Cultureより
Google Arts&Cultureより
再現後の「医学」|Google Arts&Cultureより
Google Arts&Cultureより
再現前の「法学」|Google Arts&Cultureより
Google Arts&Cultureより
再現後の「法学」|Google Arts&Cultureより

 スモーラ氏は声明の中で、「われわれが知り得ないものに色を付けることができるなんて、これは驚くべき結果だ。機械学習によって、クリムトが特定の色を使用していることが示されている」と述べている。

 唯一の資料が白黒写真だけだった名画が、おそらく元の姿に近い形で披露されることとなった。この技術が応用されれば、より多くの作品が本来の姿を取り戻すだろう。

(画像=Google Arts&Cultureより)

■堀口佐知
ガジェット初心者のWebライター兼イラストレーター(自称)。女性向けソーシャルゲームや男性声優関連の記事を多く執筆している。

〈Source〉
https://artsandculture.google.com/project/klimt-vs-klimt?hl=en
https://www.artnews.com/art-news/news/gustav-klimt-lost-paintings-restored-ai-1234605969/



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