時事ネタはテレビよりYouTubeの方が高相性? 東京五輪を瞬時にコント化したチョコプラのすごさ
先日閉幕した東京オリンピック。その象徴的シーンをパロディ化したチョコレートプラネット(長田庄平、松尾駿)のYouTube動画が、ここ数週間の間で大きな話題を呼んだ。
最初に脚光を浴びたのは、「ピクトグダグダム」と題した動画。タイトルが示す通り、五輪開会式で行われたピクトグラム(絵文字)の実写化パフォーマンスをオマージュしたものだ。“本家”がパフォーマーの洗練された動きと周到に準備された映像によって称賛を浴びたのに対して、チョコプラの2人が演じたそれは、いかにも見様見真似で、付け焼刃。しかし、チープな小道具とホワイトボードを駆使して、楽し気にパフォーマンスする姿が評判を呼び、再生回数は250万回を突破した。また、別バージョンを収めた「ピクトグダグダム take2」と題した動画も、55万回以上と、好調な再生回数を記録している。
続いて投稿されたのは、「雀拳 形 -JANKEN- サイショハグー」と題した動画。こちらは、長田が空手男子形で金メダルを獲得した喜友名諒選手のモノマネをするパロディだ。ただ真似するのではなく、ちょっとしたアレンジを加えるのがチョコプラ流。本動画では「最初はグーー!!」とじゃんけんと空手を組み合わせた独自の形を披露している。面長でツーブロックの短髪、がっしりした体型と、なんとなく喜友名選手と雰囲気が似てる長田が本家さながらの気迫のこもった演武を繰り出し、再生回数は80万回超をマークした。さらにその3日後には、“あっち向いてホイの形”を演じた「雀拳 形 -JANKEN- アッチムイテホイ」と題した動画も公開し、再生回数35万回超と、まずまずの結果を残している。
これらの動画で特筆すべきは、そのスピード感だ。「雀拳 形 -JANKEN- サイショハグー」は、空手男子形が行われた5日後の8月11日にアップ。「ピクトグダグダム」に至っては、7月23日の開会式から3日後にあたる、7月26日の夜には既に投稿されている。「ピクトグダグダム」について、長田は7月28日公開の動画で「あれはスピード勝負でしょ。確実に誰かしらやると思った」と述べ、「(開会式を)見てて、終わった瞬間に速攻、YouTubeのグループLINEに『あれできないか』と送った」と振り返った。実際にその後、様々なYouTuberやタレントがピクトグラムパフォーマンスのパロディ動画をYouTubeに投稿しているが、チョコプラほどのバズは起こしてはいない。開会式の余熱が残っているうちに、いち早く動画で取り上げた長田の作戦勝ちと言える。
アスリートが4年に1度の戦いに挑むオリンピックではこれまでに、長野五輪時のスキージャンプ・原田雅彦の「ふなき〜」や、シドニー五輪時の水泳・田島寧子の「めっちゃ悔しい~!金がいいですぅ~!」など、どこか面白の要素を含んだ名シーン・珍発言が数多く生まれてきた。
こうした、真剣勝負の副産物ともいえる一場面を切り出し、パロディ映像化するのは、かつては主にテレビのコント番組、バラエティ番組の専売特許だった。しかし、今はYouTubeがある。YouTubeであれば放送曜日を待たずに、いつでも即出しができる。そして、オリンピックのような時事ネタは鮮度が命だ。である以上、ディレクターや放送作家が集う大所帯の企画会議にかけるまでもなく、グループLINEレベルのやり取りでサクッと事が運ぶYouTubeチャンネルは、時事ネタをコント化する媒体として、ある種テレビよりも強力と言える。ということで今後も、今回のチョコプラのように、その時々の社会的関心事をパロディにした動画を投稿し、バスを起こす芸人は増えていくのではないかと思われる。