『遊戯王ラッシュデュエル』、なぜSwitchでリリース? 誕生の理由に感じた“KONAMIの覚悟”
7月12日、『遊戯王ラッシュデュエル 最強バトルロイヤル!!』の無料体験版が、Nintendo Switchで配信開始となった。
同タイトルはなぜ、成功例のあるモバイル向けではなく、CS機向けのタイトルとなったのだろうか。その理由に、『ラッシュデュエル』浸透をねらうコナミの覚悟が見えてきた。
TVアニメ『遊☆戯☆王 SEVENS』を題材にしたデジタルTCG
『遊戯王ラッシュデュエル 最強バトルロイヤル!!』(以下、ゲームを指す場合は『遊戯王ラッシュデュエル』、同名のアナログTCGを指す場合は『ラッシュデュエル』と記述する)は、TVアニメ『遊☆戯☆王 SEVENS』を題材にした対戦型のデジタルカードゲームだ。プレイヤーは同タイトルオリジナルの主人公を通じて、「ラッシュデュエル」と呼ばれるカードバトルを追体験していく。
作中には、原作の主役・王道遊我(おうどう ゆうが)をはじめとした、アニメの世界を彩るおなじみのキャラクターたちが多数登場。世界観やルールを知らない人でも、彼らとの間に紡がれる物語を楽しみながら、バトルに没頭できるゲーム設計となっている。
今回配信開始となった無料体験版では、製品版に収録されるシナリオの一部を先行して進められるほか、ローカル通信対戦(製品版ではオンライン対戦にも対応)もおこなえる。セーブデータは本編へと引き継げるため、リリースに先駆けてのスタートダッシュも可能だ。
シリーズ発の2つのTCG『ラッシュデュエル』と『デュエルモンスターズ』、ルールの違いは?
『遊戯王』をルーツとするTCGといえば、『遊戯王OCG デュエルモンスターズ』(以下、『デュエルモンスターズ』)が有名だが、同作と『ラッシュデュエル』の間にはいくつかの明確なルールの違いがある。
まずは「通常召喚の回数」についてだ。『ラッシュデュエル』では、「各ターン一度まで」という『デュエルモンスターズ』にある通常召喚のルールが撤廃されている。プレイヤーはモンスターゾーンの許すかぎり、何度でも通常召喚をおこなえるのだ。そのため、リリースを必要とする上級・最上級モンスターも、特別な準備をすることなく、1ターンで場に出せる。同作のルールには、“これまでの遊戯王TCGの常識”を覆す大幅な変更がくわえられている。
また、「通常召喚の回数」とあわせ、『ラッシュデュエル』の個性ともなっているのが、「各ターンの最初におこなうドローの枚数」についてである。『デュエルモンスターズ』で「1枚ずつ」と定められているドロールールが、同作では「手札が5枚になるまで」へと置き換えられた。つまり、毎ターン、手札を使い切った方がたくさんのカードをドローできる仕様となっているのだ。この変更は、前段の「通常召喚回数の制限撤廃」と相まって、バトルに爽快感・スピード感をもたらしている。「無限にある召喚権を駆使し、とにかく手札を使い切ること」が『ラッシュデュエル』における鉄則だ。
このほか、「モンスターゾーンと魔法・罠ゾーンをそれぞれ3枚分まで縮小」「メインフェイズ2の削除」といった変更も、同作にはくわえられた。『デュエルモンスターズ』にくらべ、よりシンプルでわかりやすい仕様となっているのが『ラッシュデュエル』と言えるかもしれない。もちろんこうした改訂にともなって、同作には、『デュエルモンスターズ』と異なったオリジナルのカードプールが用意されている。
「デッキ構築まで含めた緻密な戦略性」から、「盤面特化型の高速展開」へ。ルールの変更により、オリジナルなゲーム性を確立しているのが、『ラッシュデュエル』というTCGである。