『FFXIV』による“世界規模の文化祭”ーーファンフェスのライブを振り返る

『FFXIV』による“世界規模の文化祭”

 人気オンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』のファンフェス『FINAL FANTASY XIV DIGITAL FAN FESTIVAL 2021』が5月15日と16日の2日間、東京ガーデンシアターで開催された。開発者による制作エピソードの披露、アンバサダーに就任した神木隆之介やキャストの内田雄馬ら多数のゲストを迎えたトークや名シーンの振り返り、さらにクイズ対決など。初の無観客オンラインとは思えない、ファンにはうれしい盛りだくさんの内容。加えてDAY 1はピアニストのKeiko、DAY 2はオフィシャルバンドTHE PRIMALSがスペシャルライブを開催。ゲームの世界とリアルライブが融合した、スペシャルなライブステージをレポートする。

リアルとバーチャルが融合したFFXIV初のオンラインライブ



 DAY 1を締めくくったKeikoの演奏。ピアノだけのライブは2019年以来で、それも無観客配信という初の試みに少し緊張した様子。そこに登場したサウンドディレクターの祖堅正慶は、「未知数なので、みなさんといっしょに緊張しながらも、思い切り楽しみたい。でもお祭りですので、堅苦しい見方はしなくて大丈夫。コメント上で『泣ける〜』とか『この曲好きだ〜』とか、いろんな形で盛り上がってください」と、ステージを見守る世界のファンにメッセージを送った。

  1曲目は「冥き水底 〜テンペスト:深部〜」。穏やかだが力強いタッチで、やさしく包み込むような演奏を聴かせる。ブルーのライティングを浴びながらの演奏と、スクリーンに映し出されたゲーム画面の映像が重なり実に幻想的だ。「影なき影 〜創造機関 アナイダアカデミア〜」は、一転しジャズ調のリズミカルな演奏を聴かせる。激しい戦闘とは裏腹に、知的でウィットに富んだユーモアも感じさせた。


 これら2曲のレコーディングは、スタジオではなく横浜のフィリアホールを借り切って録られたそう。グローバルコミュニティプロデューサーである室内俊夫から「そこにはどんなプロフェッショナルな意味が?」と問われると、「電子的に作り出す音響空間よりも、本物の音響空間のほうが良いに決まっている」と祖堅。こうした裏話が聞けるのも、ファンフェスならではの楽しみだろう。

 中盤はこれぞファンフェスといった、スペシャルなステージで盛り上げた。「目覚めの御使い 〜ティターニア討滅戦〜」は、仮想空間上のAmanda Achenとステージ上のKeikoがコラボレーションを繰り広げる圧巻のステージ。「Amandaさんがすぐ近くにいるように感じました」とKeiko。Amanda Achenは終盤の「Tomorrow and Tomorrow」でも登場し、ファンフェスではお馴染みになった2人の女神による美しい歌と演奏が、世界中の光の戦士を癒やしてくれただろう。




 
 一方、「シヴィライゼーションズ 〜ラケティカ大森林:昼〜」は爆笑の渦。オタマトーンを首から提げた祖堅が登場し、なかばやけくそ気味の歌と音程をはずしまくったオタマトーン演奏を繰り広げ、逃げるようにステージから退散。かと思えば「Pa-paya」でチョコボとモーグリを連れて再びステージに登場した祖堅は、軽快なリズムに合わせてユーモラスにダンスを披露するなど、ライブの盛り上げに八面六臂の大活躍。これを見守ったKeikoは「サウンドディレクターの仕事って幅広いんですね(笑)」と笑顔。

 アンコールの「ロングフォール 〜異界遺構 シルクス・ツイニング〜」では、Keikoと祖堅がピアノの連弾を披露した。おちゃらけていても、そこは大作曲家。楽しそうで息ぴったりの演奏からは、世界中の光の戦士たちを少しでも楽しませようとする心意気が感じられた。

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