90年代名作ゲーム、なぜいま復刻ラッシュ? 『サガ フロンティア リマスター』の発売から考える
4月15日、『サガ フロンティア リマスター』が各プラットフォーム(PS4/Nintendo Switch/iOS/Android ※)にて配信開始となった。
1990年代というRPG全盛の時代にリリースされ、いまなお同ジャンルの金字塔として多くのファンに愛されている同タイトルのオリジナル版。本稿では、『サガ フロンティア リマスター』の配信開始を入り口に、オリジナル版が発売された時代を振り返り、いま往年の名作が復刻されることの意義を考えていく。
※Steam版のみ、4月16日リリース。
『ロマサガ』の系譜を受け継ぐ意欲作が、約四半世紀の時を越えて現代に復刻
『サガ フロンティア』は、1997年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)より発売されたPlayStation向けRPGだ。プレイヤーは、複数の文化圏が併存する世界を舞台に、7人の主人公の中から選択した1人の物語を追体験していく。タイトル名からもわかるとおり、『サガ』シリーズに連なる作品で、世界観やシステムなど、さまざまな面を過去作から踏襲している。当初は『ロマンシング サ・ガ 4』の名で開発されていたが、スーパーファミコンからのハード移行にともなって、現行のタイトル名となった。2000年以降は数々の廉価版リリースにくわえ、ソニー・インタラクティブエンタテインメントによる旧作のダウンロード販売サービス『ゲームアーカイブス』でも配信されている。
今回発売となった『サガ フロンティア リマスター』は、グラフィックの向上や、新たな主人公の追加、幻のイベントの実装など、オリジナル版に数々のアップグレードを施したリマスター版。約四半世紀の時を越え、RPGの金字塔が現代に復刻された。
旧スクウェアの黄金期を彩ったRPGたち
『サガ フロンティア』がリリースされた90年代は、RPGが全盛の時代だった。『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』という二大シリーズから次々ヒット作が誕生したのをはじめ、新規IPの領域では『聖剣伝説』『クロノ・トリガー』『スーパーマリオRPG』『幻想水滸伝』『スターオーシャン』『テイルズ オブ ファンタジア』『ポケットモンスター』などが登場。さまざまなゲームメーカーが同ジャンルで新作を開発したことで、このトレンドは大きく盛り上がった。
なかでも時代を牽引したのが、スクウェア(現スクウェア・エニックス)だ。先に紹介したうちでは、『ファイナルファンタジー』『聖剣伝説』『クロノ・トリガー』といったシリーズ・作品が同社から発表され、そのほとんどが100万本を超えるヒットを記録している。この時期のスクウェアは、リリースするRPGすべてが売上本数と評価を両立する、ゲーム界きってのモンスターメーカーだった。
とりわけ90年代後半における同社の実績は圧巻で、95年には『フロントミッション』『クロノ・トリガー』『聖剣伝説3』『ロマンシング サ・ガ 3』を、97年には『ファイナルファンタジーVII』『ファイナルファンタジータクティクス』を、98年には『ゼノギアス』『パラサイト・イヴ』を、99年には『ファイナルファンタジーVIII』『サガ フロンティア 2』『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』を発表。そのどれもが20年以上経った現在もなお、多くのゲームフリークたちによって名作RPGのひとつに数え上げられている。『サガ フロンティア』もまた、このスクウェアの黄金期を彩ったRPG史に残る1作だ。ここで挙げたラインアップからは、直近の2年間に限定しても、『聖剣伝説3』『ロマンシング サ・ガ 3』『ファイナルファンタジーVII』『ファイナルファンタジーVIII』の4タイトルがリメイク・リマスターへと至っている。