水溜りボンドが語る“コントロール不能なメディア”への挑戦 「オールナイトニッポンでコンビの幅が広がった」

水溜りボンドが語る“コントロール不能なメディア”への挑戦 「オールナイトニッポンでコンビの幅が広がった」

 2020年4月2日、動画クリエイターとして初めて『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)の看板を背負い、『水溜りボンドのオールナイトニッポン0(ZERO)』をスタートさせた水溜りボンド(カンタ、トミー)。YouTubeという舞台で視聴者とともに多くの夢を叶えてきた二人が、まったく新しい世界で奮闘を続けて1年あまり、その足跡がまとめられた番組公式本『水溜り本―水溜りボンドのオールナイトニッポン0(ZERO)深夜のアミーゴ―』(扶桑社)が発売された。

 2015年1月から続けてきた動画毎日投稿の終了を始め、コロナ禍のなかでコンビとしての岐路を迎えた、水溜りボンドの2020〜2021年。二人のトークセレクションが収められた『水溜り本』は、その克明な記録でもある。同書の刊行を経て、いま二人はどんな思いで日々の活動に臨んでいるのか。コンビとして初となる書籍の制作秘話から、ANNパーソナリティとして得られた経験、今年後半以降に向けての展望まで、じっくり聞いた。(編集部)

水溜りボンド(左からカンタ、トミー)

「客観的な視点で、より“人”が出たなって」(トミー)

――濃密なインタビューあり、きちんとふざけている企画ありのとても充実した一冊になりました。まず、番組本が出版された感想から聞かせてください。

トミー:まさかパーソナリティ就任から1年で本を出させていただけるなんて思っていなかったので、本当に光栄なことでした。これまでYouTubeしかやってこなかったし、ラジオという新しい場所で試行錯誤している最中なので、「これで一冊できるのかな?」という不安もあったんですけど、実際に仕上がったものを見て、1年間ラジオをやってきてよかったなって。この本の厚みは、僕らがこの1年間で経験したこと、コンビとしての幅が広がったことの証なのかなと思えてうれしかったですね。ラジオをやらずに、自分たちだけで発信していることを同じコンセプトで本にまとめたとしたら、もっとペラペラになったかもしれないなと(笑)。

カンタ:オードリーさんの番組本も普通に買っていましたし、自分たちがやりたかったことでもあって。自分たち主導で真似たものを作ることもできるとは思うんですけど、こうして“作っていただく”と、いい意味で想像と違うものが出来上がるんですよね。オードリーさんはこういう本になるし、水溜りボンドはこういう本になるんだ……という客観的な見方ができるというか、そうやって並べて捉えることができるのがとてもうれしかったです。

――確かに編集が効いていて、ファンなら知っているエピソードも、とても新鮮に伝わってきました。トークの「傑作選」がメインコンテンツのひとつになっていますが、このチョイスも編集の方々が行なったものですか?

トミー:そうなんですよ。完全にお任せで、「そこ、傑作選なんだ!」という驚きもありました。読んでいて楽しかったし、僕らって凝り固まっていたんだな、と感じる部分もあって。というのは、自分たちで選ぶと、どうしても「僕らの面白い話って、コレでしょ?」という固定観念が入ってしまうし、「うまく話せた」と思うエピソードばかりになってしまうと思うんですよね。それが、客観的な視点からピックアップしてもらったことで、より“人”が出たなって。幅を広げていただけたと思います。

カンタ:そうそう、自分としてはうまく話せた感覚はなかったのに、こうして本になって振り返ってみると、「このエピソード、面白いじゃん」と思えたり。自分たちのトークの文字起こしを読んだことがなかったので、とても新鮮でしたね。


――お二人の声が聴こえてくるような、臨場感のあるまとめも秀逸でした。

カンタ:そうですね。聴いてた人は思い出すだろうな〜って。

トミー:深夜の番組ですし、聴きたいけど聴けなかった、という人にも楽しんでもらえると思いますね。

――お二人にとって、特に記憶に残っているトークはありますか?

カンタ:僕は星野源さんの話ですね。水溜りボンドの動画のED曲が、星野さんの「Crazy Crazy」をパクったんじゃないか……という話がどんどん膨らんで、ご本人に嫌われたらどうするんだ!って、本当に嫌だったんですよ(笑)。

トミー:ラジオって、自分で「ここまで」と決めていたラインを飛び越えて、トビラをこじ開けられるようなところがあるんですよね。YouTubeだったら「星野源さんに影響を受けて……」って、自分たちできちんと注釈を入れられるけれど、リスナーさんたちが面白がって、最終的に「盗作」と言われてましたから(笑)。

カンタ:本当は美談でもあるんですよ! 大学生が星野源さんに憧れて、同じコード進行の曲を動画に使ってきて、そして同じく『オールナイトニッポン』のパーソナリティにしていただいて……という。

「外に戦いに行く時期だった」(カンタ)

――実際、星野源さん自身はとても喜んでいて、2019年8月の放送では「もし気が向いたら、僕の曲を使ってやってください」とまで言われていました。動画のように自分たちで完全にコントロールすることができず、予想外の方向に話が転がっていくのも、ラジオならではの面白さですね。

カンタ:そうなんです。コントロールできないことが苦手だったんですけど、いまやお互いに生放送でボロを出させようとしているところがありますからね(笑)。

トミー:僕なんか、番組がスタートした直後からノンストップでいじられる世界線に入りましたからね。僕自身はそんなことをまったく想定していなくて、うまく喋ろうと思っていたんですよ。リスナーさんにそういう”イタさ”を見抜かれたのか、いじられまくって。本当に人生の転換点と言ってもいいくらいで、『水溜りボンドの〇〇いくってよ』(TVK)でも体を張らされるし、最終的には丸坊主になってますからね(笑)。


――確かに驚きましたが、ANNリスナー特有のいじりを受ける姿は、ラジオとYouTubeの両方を楽しんでいるファンとして誇らしい気分にもなりました。

カンタ:YouTubeの僕らを好きで見てくれている人とリアクションにギャップがあるので、スイッチの切り替えが大変だったんですけど、みんなラジオのノリをどんどん理解していってくれて、やりやすくなっていきましたね。

トミー:最初はいじられる僕の姿を見たくない、という人も多かったんですよ。それが、「クソウニ」という単なる悪口を受けるところまでいって……。

――憧れの先輩が上級生の間でいじられているところを目撃してしまった……というか。

トミー:そうそう、厳しい父親が会社でめっちゃ怒られていた、みたいな(笑)。

――さて、この本でまとめられている期間は、ラジオだけでなくテレビでも看板番組を持ち、毎日投稿の終了もあり、またコロナ禍での活動の制限もあって、本当に激動の一年の足跡を記録したものにもなっているのではと。

カンタ:そうですね。僕らは2015年からYouTuberとして活動してきて、多くの人に動画を見ていただけるようになって、この期間は外に戦いに行く時期だったと思うんです。もちろんYouTubeは大事にしていますし、そこだけで完結することもできたんですけど、自分たちには何ができるのか、ということを試してきた1年でもあって。このタイミングでそういうことができたのは、振り返ってみて本当によかったと思えますね。

トミー:2020年から21年にかけては、やっぱりコンビにとっての岐路だったと思うんです。外で挑戦する、という選択をするタイミングは絶対に来ていたと思うし、素直によかったなと思いますね。多くの壁にぶつかった1年でもあって、そこで挫折してしまう可能性もあったなかで、こうやってラジオも続けさせてもらっていて、本にもなって。この状況を楽しめるようになっていなかったら、将来ヤバかったんじゃないかと思います。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる