水溜りボンドは「壁」を乗り越え続ける トミーの“丸坊主ドッキリ”動画に見た二人の本質

 「おかえり、YouTuberの水溜りボンド!」

 そんなふうに声をかけたくなる動画がアップされた。水溜りボンドのトミーが突然、坊主になってカンタの前に現れるというドッキリを敢行したのだ。トミーにとって外ハネの髪型は、キャラクターとして大切にしてきたトレードマークだ。いや、水溜りボンドのアイデンティティの一部といっても過言ではない。

トミーが本当に坊主になるドッキリwwww【6mm】

 それをバッサリといったのだ。過去に坊主がイヤで野球部を断念したこともあったトミーが、だ。その突拍子のない行動に、相方のカンタは驚き、そして思わず笑ってしまう。その様子に、視聴者の私たちもつられて笑ってしまう。トミーの吹っ切れたような笑顔に、「おかえり」と言いたくなったのだ。

 ここ最近、水溜りボンドの周囲は少しザワザワしていた。今年に入り、長年共に暮らしてきた2人が生活スペースを分け、2015年1月1日から続けてきた毎日投稿を12月31日をもって終了する宣言をし、トミーの個人チャンネルが開設されるなど、怒涛の変化を巻き起こしてきた。

 さらに、YouTube以外のメディアへの露出が加速。ラジオ番組『オールナイトニッポン0(ZERO)』、テレビ神奈川『水溜りボンドの〇〇行くってよ』のレギュラー番組を持ち、本人たちも「今が1番忙しい」と発言するほど、引っ張りだこだ。

 だが、その一方でファンとの距離感が変わりつつあることも自覚していた2人。『オールナイトニッポン0(ZERO)』のイベントチケットが売り切れないことを「悔しい」と述べ、YouTubeと違い自分たちが企画、プロデュース、演者、編集の全てを担っているわけではない新しいメディアでは、まだファンとの信頼ができてないのではないか、と赤裸々に語った動画が議論を呼んだ。

 チャンネル登録者数432万人超に対して再生回数が数十万回と伸び悩んでいる点からも、これまで見ていた視聴者が離れてしまっているという現実を指摘する記事も出た。外部での活躍が忙しすぎてYouTube動画にパワーをかけることができず質が落ちていると評する声、謙虚な気持ちを忘れてしまってのではないかと叱咤する声も聞こえてきた。

 そして長年彼らの動画を楽しみにしてきた視聴者からも「最近見なくなってきてしまっている」「見るの疲れてました」という率直なコメントが見られる結果に。

 たしかに、かつての彼らなら、きっと「チケット全然売れてないの、おもろ!」「やっぱ俺らのためにわざわざ来ないって!」と、笑ってしまっていたのではないかと思うのだ。強気の価格設定も、埋まらない客席も、YouTuberならむしろおいしい、と。2人で震えながらも笑ってしまっていたのではないか。

 もちろん今は多くの大人が関わっているから、ビジネスとして成功させなければならないというところにいるのかもしれない。憧れのラジオという仕事に、彼ら自身が必死に食らいついているところなのもわかる。

 だが、水溜りボンドがYouTuberとして多くの人に愛されたのは、売れ行きがどうとか、数字がどうとか、そんなことをむしろぶっ飛ばしてでも、目の前の相方が1人でも笑ってしまえば勝ちとする姿だったのではないだろうか。

 だから、いろんな意見が飛び交い、耳の痛い話も彼らのもとに届いている今、カンタが笑うことだけを取りに行く坊主姿のトミーにただただ笑ってしまう。水溜りボンドは、こうでなくっちゃ、と。432万人超の笑顔は、カンタとトミーが笑ったその先にあるのだから。

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