ヒットするゲームの条件は“性別問わない支持”に? 『牧場物語』最新作が秘める可能性
2月25日、『牧場物語』シリーズから最新作『牧場物語 オリーブタウンと希望の大地』がリリースされる。
牧場経営シミュレーションの草分けとして同分野を切り開いてきた同シリーズ。その特徴から、最新作ヒットの可能性が見えてきた。
ほのぼのとスローライフを送る牧場経営シミュレーション
『牧場物語』シリーズは、1996年にスーパーファミコンで発売された『牧場物語』を初作とする作品群。プレイヤーは牧場の運営者となり、移ろう季節のなかで自然と共生しながら、農作物・畜産物を生産し、そこで生活を送っていく。ゲーム内に明確な目的はなく、倒すべき敵も存在しない。牧場の仕事をこなしつつ、ほのぼのとスローライフを送ることが、同シリーズのゲーム性となっている。
『牧場物語』シリーズからは、これまで40作近いタイトルが発表されており、今回リリースとなる『牧場物語 オリーブタウンと希望の大地』は、2019年にNintendo Switchで発売された『牧場物語 再会のミネラルタウン』に続く、32作目のナンバリングタイトルとなる。『Stardew Valley』など、新興インディータイトルの台頭も著しい牧場・農場経営シミュレーションのジャンルにおける草分けとされているのが『牧場物語』シリーズだ。
『牧場物語』人気シリーズ化の背景にある“別ジャンルとの融合”
『牧場物語』シリーズには、今日さまざまなジャンルと融合を果たす別のゲーム分野の要素が取り入れられている。そのひとつが“恋愛アドベンチャー”だ。「牧場主の一生を箱庭のなかで再現する」という着想のもと、開発がスタートした同シリーズでは、第1作目の時点から、登場する女性キャラと結婚し、子どもを作ることができた。当時はまだ、ゲームカルチャーが発展・拡大期へと向かっていく時代。今でこそ老若男女に支持されやすいシミュレーションタイトルも、コアな層向けに開発された硬派なゲームデザインのものが多く、そのなかにあって『牧場物語』の持つカジュアルさは異質だった。こうしたシリーズ生来の特徴はその後、主人公を女性へと変えたリメイク作品や派生シリーズ『ルーンファクトリー』の発売へとつながっていく。昨今、RPGやその他のシミュレーションとの親和性でヒット作を生んでいる恋愛アドベンチャー。同ジャンルの要素を早い段階からシミュレーションに取り入れ、25年という長い歴史を紡いできたのが『牧場物語』シリーズだと言える。