韓国SF超大作『スペース・スウィーパーズ』の魅力 米中“スペースオペラ”との違いは?
スペースデブリは新たな公害問題
本作の主人公チームが宇宙のゴミ、いわゆるスペースデブリの掃除屋というのも面白いポイントだ。
宇宙ゴミの問題は、すでに深刻な問題を生み出している。現実に地球に落下してくることもあるのだが、多くは成層圏で燃え尽きる。だが、まれに地表にまで落ちてきて被害をもたらすことがあるのだ。
宇宙ゴミは、壊れた人工衛星やロケットの残骸などからなる、宇宙に漂う役に立たない人工物の総称だ。人類の宇宙進出が増えれば増えるほど宇宙ゴミも増える。欧州宇宙機関(ESA)によれは、宇宙空間に漂う人工物の90%は宇宙ゴミなのだそうだ。ゴミではない人工物、稼働中の人工衛星などはほんの10%にすぎない。すでに地球の周辺はゴミだらけなのだ。(参照:https://www.nikkei.com/article/DGXKZO49605830Q9A910C1EA2000/)
宇宙ゴミは高速で移動しており、捕捉するのが困難。小さい部品が衛星に衝突して被害をもたらしたことが過去に何度もあり、さらには稀ではあるが地表に落下することがある。今後、宇宙ゴミは新たな「公害問題」となることは確実だろう。
宇宙の掃除屋は将来確実に必要になる職業だ。主人公たちはアウトロー的な立ち位置の存在だが、今も昔も、そしてこれからもはみ出し者たちが汚れ仕事をしなければならない構図には変わりなく、そんなはみ出し者たちが格好良く輝いていく過程を丹念に見せてくれるのが本作の娯楽映画としての最も優れた点だろう。
■杉本穂高
神奈川県厚木市のミニシアター「アミューあつぎ映画.comシネマ」の元支配人。ブログ:「Film Goes With Net」書いてます。他ハフィントン・ポストなどでも映画評を執筆中。
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