男性優位ではないマッチングアプリが求められる時代ーー「Bumble」の思想から考える
パンデミックで外出禁止令が出され身動きが制限される中、マッチングアプリで約束し、人と気軽に会うという行為がとても難しくなった。しかし予想とは裏腹にコロナ禍でのマッチングアプリの利用者は増えているというデータが出ている。
TinderやHingeといったメジャーマッチングアプリを運営するグループ会社Match Groupは、所有する45のマッチングプラットフォームの利用者・ダウンロード数が2020年第2四半期には増加し、有料登録者は15%増しだと発表している。コロナで人と会えないからこそ、人とのつながりを求めているという心理的な動きが影響しているのだろう。このことから同時にマッチングサービスは、パンデミックを通して新たなつながり方を提案することができるかもしれないと注目されている。今回の主役となる「Bumble」は、女性が創設したマッチングアプリとしてテック界史上最年少で上場予定で、IPOで10億ドルを記録すると予想されている。
女性のためのマッチングアプリを
Tinderの立ち上げ当初から開発に関わり、マネージャー代表となったWhitney Wolfe Herdは、2014年に独立。新しいマッチングアプリBumbleを設立した。従来のマッチングアプリのように、マッチしたら相互で会話ができるものと異なり、マッチ後は女性側からしか会話が始められないという仕組みが特徴だ。男性が追い、女性が待つというステレオタイプに疑問を抱いたところから始まった試みは、現在ほとんどの英語圏で大規模展開されており、今後さらにアジアやヨーロッパでのさらなる拡大に注力していく予定だ。女性たちが最初の動きを開始することによって、女性たちのエンパワーメントにつなげていくという目的で始められたこのサービスは、当初は多くの懐疑的なコメントを受けたと話す。
しかし同時に、このように女性側が欲しているものを表明していける場所を増やしていくことが、仕事やその他の人間関係の場にも良い影響を与えていくことにつながるとWolfe Herdは信じている。恋愛目的のマッチングアプリがリリースされた後、エンパワーメントのアイディアを元に、友達探しのBumble BFFとビジネスネットワーキングのBumble Bizzの二つのサービスをリリースしている。また会社自体のエンパワーメントを推進する環境に取り組んでおり、現在Bumbleはテック業界では珍しく、圧倒的大多数を女性社員が占める。プラットフォーム上の規制も厳しく、ヘイトスピーチやハラスメントに対する厳しい取り締まりを行なっており、人々が安全に繋がれる環境を提供するために日々様々な啓蒙活動に勤しんでいる。