『Makuake』中山亮太郎・坊垣佳奈に聞く コロナ禍で生まれた“新しい購入の形”
BEAMSや百貨店との提携にグローバル展開も…『Makuake』今後の展望
ーーコロナ終息の目処が立たない状況ではありますが、2021年以降はどのようになっていくと思いますか？
坊垣：コロナによって、本当は10年かかるような価値観や感覚の変化が、この1年の間に起こりました。本来本質的じゃないのに長年の風習で作られてしまった常識みたいなものが一気に壊されて、皆がより本質的なことを考え始めています。細かいことは元に戻っても、進んだ感覚や価値観は元には戻らないと思いますね。
中山：坊垣の考えに近いのですが、コロナの前から、消費行動に対して、自分らしさや価値観の表明を求める人が増えてきていると感じています。より丁寧に時間を使って買い物をするというスタイルが定着しつつありますよね。コロナがいつ終息するかはわからないのですが、価値観の進化とともに、「応援購入」というアクションにシンクロした世界になっていくと思います。
ーーすでに海外では、そのブランドを買うことで、自分の価値観を表明するような文化が定着していますよね。それがアパレルだけでなく、どんな商品にも起こりうると判明したのが昨年であり、それが『Makuake』の成長の背景にもあるのかなと思います。
坊垣：一見、オンラインって直接的なコミュニケーションではないように感じられるのですが、本来出会うことのなかった人たちとの関わりを生むものだと考えると、実はすごくダイレクトなツールですよね。普段お店の売り場に生産者さんがいることってないですし。
『Makuake』では、生産者さんの思いが直接サポーターに届けられるので、遠いようで近いんです。それに気付くと、作り手さんもこう言う風に届けられるんだって実感できると思いますし、サポーター側も、届いたものをより大事にする消費スタイルに変わっていくと思います。
ーーそれでは、2021年以降の具体的な展望を教えてください。
坊垣：2つ大きな取り組みがありまして、まず1つ目は、BEAMSさんとの提携です。
具体的には、BEAMSさんと『Makuake』との新しい購入体験の提供や、BEAMSさんのプロジェクト実施などですね。またBEAMS実店舗での『Makuake』の商品販売や展示なども企画しています。『Makuake』から生まれたものをBEAMSさんにセレクトしていただいて、店舗の中に展示エリアができるイメージですね。BEAMSさんもコロナ禍においてアパレル業界の変化を感じているようで、新しいものの売り方や、お客さんとの接し方などを一緒に模索できたら、と考えています。アパレル領域での画期的なお取り組みとなりそうです。
そしてもう1つは、オンライン催事です。百貨店の催事、たとえば北海道物産展みたいなものを、『Makuake』のオンライン上でできるようなシステムを提供します。直近では大丸東京店さんが、6つほどのお菓子メーカーさんのプロジェクトをスタートするのですが、すべて大丸さんのセレクトになっていて、催事ページが『Makuake』のサイト上に立ち上がります。
ーー実店舗とも連動しているんですよね。
坊垣：そうですね。百貨店の集客が難しい状況の中で、オンライン上でイベントをやるのと同時に、試食や試着など、実店舗に行く意味を作り出す狙いもあります。百貨店は実店舗が一等地にあり、決まった顧客がいることが強みなので、それを活かしていきたいですね。
大丸さんはお菓子の領域ですが、近日他の百貨店との取り組みの準備も始まっており、それぞれの百貨店に企画をご検討いただいている段階です。
ーーグローバルの展開についても視野に入れているのでしょうか？
中山：そうですね、いよいよグローバル展開を見据える段階に来ました。今世界各国のメーカーさんに、日本市場への新商品のデビューの場として『Makuake』を使っていただいています。反対に、日本から世界への発信も行っていきたいですね。
これまでに韓国や台湾、中国の企業との提携をしてきましたが、つい先日米国を拠点とする「Indiegogo」との業務提携も発表し、実行者さんの欧米エリアへの海外進出のサポートも始まりました。同じく、各国から日本進出する際のサポートも行っています。
ーー「応援購入」のスタイルは、グローバルな価値観に近いものがありますよね。
中山：ストーリーや背景を知り、応援の気持ちを持って商品を購入するという消費行動は世界的なトレンドになっています。応援したいと思わせるような魅力的な日本の会社ってたくさんあるので、そんな事業者さんと、世界との架け橋になるのが、僕らのやるべきことですね。グローバル化は2021年以降の大きなテーマですが、今の僕らであればできると思います。
