ハイブリットバイク『glafit』の新モデルが登場 走行できる“場所”の変化とは?
「電力で動く乗り物」の発達は、世界的な潮流でもある。
筆者の幼馴染のAくんは、高校時代に理科の先生からこんなことを言われたそうだ。
「これからの時代は電池です。電池です。絶対に電池です!」
Aくんの高校入学は2000年。当時、電池が世の中を様変わりさせてしまうということを考える者は少なかった。蓄電池の高性能化はスマートフォンを動かし、自動車を動かし、社会全体を動かすようになった。
ハイブリッドバイク『glafit』が満を持して登場するのは、まさに時代の運命である。
この『glafit』こそが、もしかしたら来年以降の「日本人の足」になるかもしれないのだ。
夢のハイブリッドバイク
今年で36歳を迎えた筆者は、子供の頃にこんなことを思案した。
自転車にモーターを搭載して、好きな時にスロットルで動かせればいいのに。
体力に余裕のある時は人力自転車として、速く移動したい時はモーターバイクとして使用できる乗り物があれば、これほど便利なことはない。あの時分の筆者の妄想は、20年以上も経過したあとに現実のものとなってしまった。
『glafit』はハイブリッドバイクである。状況に応じて人力自転車、電動モーターバイクと切り替えて走行することができる。開発したglafit株式会社は、和歌山県和歌山市の企業だ。
2017年、クラウドファンディング『Makuake』に『glafit GFR-01』という製品が出展された。これは1億2800万円を超える出資金を集め、一般メディアでも取り上げられた。その『glafit』が此度、フルモデルチェンジを遂げた。
「普通自転車」と「原動機付自転車」
11月25日に発表された新モデルの『glafit GFR-02』は、走行性能を見直した製品である。
前モデルにはユーザーから「出力が弱い」という声があった。そこで登坂性能を最大25%向上させ、さらに折り畳みやすさの改善も達成した。電動モーターバイクとして申し分ない性能が与えられたうえ、スマホアプリとの連携機能も有している。
しかし、最も注目すべきは来年初夏に発売予定の後付け機構『モビチェン』である。
これを装着すれば、何と人力自転車と電動モーターバイクの2つの車両区分をいつでも切り替えることができるのだ。言い換えれば「普通自転車」と「原付第一種」のスイッチである。モーターの動作を止め、ナンバープレートを覆った状態では普通自転車として扱われるということだ。
ここで、日本の法律について簡単に解説したい。
100%人力で動かす自転車と電動アシスト付き自転車は普通自転車であり、軽車両だ。一方で定格出力0.6kWまでの電動モーターバイクは原動機付自転車。運転免許証を所持する必要があり、当然ながらバックミラーやウインカー等の保安部品、ナンバープレート、ヘルメットの着用、そして自賠責保険への加入が求められる。
アメリカでは時速60km以上で走行できる電動モーターバイクや電動キックボードが既に販売されているが、それを個人輸入して日本の公道で走らせることは難しい。保安部品もナンバープレートもないから、そのままの状態ではパトカーに捕まってしまう。
現時点での『glafit』の車両区分は原付一種である。が、来年からは切り替え機構が警察庁に認められて「バイクの電源をOFFにし、ナンバープレートを覆った時は道路交通法上、普通自転車」と見なされることになったのだ。
もちろん、普通自転車として走らせる場合は免許はいらない。これはサンドボックス制度に伴う警察との実証実験を繰り返した末の成果でもある。