新型コロナワクチンのデジタル予防接種記録を、マイクロソフトら大手12社が共同開発

新型コロナワクチンのデジタル予防接種記録を、マイクロソフトら大手12社が共同開発

 新型コロナワクチンの接種が各国で始まる中、海外渡航制限条件に多くの国が「予防接種記録」を追加している。現在存在する記録の中で一番メジャーなものが、WHOの発行する「国際予防接種証明書」、通称“イエローカード”と呼ばれるものだ。

 これは黄熱病やコレラなどの伝染から、風疹などの子供の病気まで、幅広い予防接種歴を記録するものとして、現時点で一番普及している。しかし、今回の新型コロナワクチンの接種記録における問題として、長期間の安全性を試験していることや、大量接種プログラムに着手している国が少ないことから、国際的なスタンダードが確立されていないのが問題だ。

 パスポート自体もデジタル化されていく中で、今回マイクロソフト、セールスフォース、オラクルなどを含めた12社が、デジタル接種記録を開発していると発表した。すでに様々な企業が独自のデジタル予防接種パスポートの開発に取り組んでいるが、ここまで大規模なものは今回が初めてだ。

個人情報へのアクセスへと情報の信憑性の矛盾

 予防接種記録を作成する過程で一番の論点となるのが、個人情報へのアクセスとその有無から浮上する記録自体の信憑性という問題だ。国際予防接種証明書は、紙の媒体に予防接種を受けた医療機関から記録を直接記入してもらうという形になっている。

 実際、予防接種プログラムが進められているアメリカでは、小さな白い紙に接種記録を記入して個人に手渡しているのが現状だ。しかし、これは信憑性に欠けるという声もあり、同時に多くの国境管理プロセスがデジタル化する中、これに連動する形での予防接種記録の表示が求められていくため、どこかのタイミングでアナログなプロセスからデジタルへと移行していく必要性がある。

 国際航空運送協会(IATA)は、独自の予防接種パスポートIATA Travel Passの開発を発表しており、国外旅行に伴い、それぞれの旅先のワクチンに関する必要条件を表示するほか、医療機関と連携することで直接検査結果や接種記録をアプリ上に表示するという仕組みだ。スイスの非営利機関は世界経済フォーラムと共同で「CommonPass」という新型コロナ関係のヘルスアプリを開発している。

 「Apple Health」や「CommonHealth」などの既存ヘルスアプリと手を組み、個人が検査結果や予防接種の記録へのアクセスを許可することによって、必要な情報のみを利用するという形になっており、「CommonPass」側で入国する先の国のコロナ対策基準を満たしているか、信頼できる医療機関からの結果かを査定し、記録の信憑性を確立するというシステムだ。今後は、個人情報へのアクセスを制限したまま、どのようにして記録の信憑性を評価するかというのが大きな課題となるだろう。

共同開発のデジタル予防接種記録の仕組みは個人情報保護重視?

 ここでマイクロソフトをはじめとする12社の共同プロジェクトVCI(Vaccination Creditable Initiative)は「個人が暗号化された自身の予防接種記録を取得し、自由にそれぞれのヘルスアプリに連携していくシステムの構築」という大規模なビジョンを掲げている。マイクロソフトのヘルスケア部門が提唱したオープンソースの自己集権型のヘルス記録フレームワーク「SMART Health Cards」をベースに、証明書のシステムを開発する予定だと述べている。

 これは非営利団体World Wide Web Consortium(W3C)によって認可されたVerifiable Credentials(オンライン検証可能なデジタル個人情報)を基盤に作られているため、自身の新型コロナに関する情報をどんなデジタルな形でも持ち歩けるという方法だ。スマホなどを持たない個人には、印刷できるQRコードを提供するという形を取っている。このような柔軟性のあるアプローチを設けることによって、政府機関から航空会社まで、様々な機関が新型コロナ関係の情報のみにアクセスできる仕組みを構築することができる。

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