Apple、Google、Amazonから締め出された“保守派のSNS”こと『Parler』から考える、「テックと言論の自由の関係」
アメリカ大統領選挙の最終結果を認定する作業が行われていたワシントンの連邦議会議事堂に、ドナルド・トランプの支持者たちが乱入し、5人が死亡した事件で、直前にトランプ氏がTwitter上で自身の支持者たちに抗議を促すツイートを投稿していたことから、Twitterツイッターはトランプのアカウントを一時凍結から永久凍結へと移行した。
この動きに続き、FacebookとInstagramはトランプのアカウントを一時停止。TikTok、Reddit、Discord、Twitchなどの大手SNSはトランプ支持のフォーラムやアカウントを全て凍結する動きに出た。TwitterをはじめとしたSNSでの発信で有名なトランプは数多くのプラットフォームでの禁止令を受け、「左翼による言論の自由の侵害だ」と表明しており、いまだに大統領選の不正を主張し続け、敗北を認めない様子だ。
そんな中、パーラー(Parler)というソーシャルメディアプラットフォームが、禁止された多くのトランプ支持関連アカウントの次の行き先となっている。
パーラー(Parler)の台頭と言論の自由
昨年11月のアメリカ大統領選挙へ向け、それぞれの候補者たちは自身のSNSを最大限に有効活用し選挙運動を進めていた。しかし、同時に新型コロナウイルスや関する陰謀論と呼ばれる類のものが多くのトランプ支持者たちのSNS上で拡散され、TwitterやFacebookはこれらの情報を信憑性に欠けるという注意書きなどを掲載し、厳しく取り締まる結果となった。
特にTwitterが、選挙の投票や新型コロナに関する誤報が出回ることは多くの人たちを危険に晒す可能性があることを踏まえて厳しい対応に出ていたことを受け、トランプ支持者や自由主義者たちの多くは“言論の自由を保障するSNSプラットフォーム”とされるParlerへと移行した。Parlerは、2018年に二人のソフトウェアエンジニアJohn MatzeとJared Thomsonによって立ち上げられた、フランス語で「話す」という意味を持つプラットフォームだ。Twitterと酷似するタイムライン形式で「premier free speech social network」(プレミア言論の自由ソーシャルネットワーク)という使命を掲げ、多くのユーザーを集めている。昨年の大統領選の時期にはアップルストアやGooglePlayでダウンロード1位を記録していた。
App StoreからGooglePlay、AWSまでアクセス禁止に
これに対し、Apple社は、「私たちのプラットフォームには脅迫や暴力などの違法行為の存在する余地はない」という声明を発表し、運営するApp Storeからアプリを削除。Googleもこれに続き、Google Play Storeから同アプリを削除した。さらに、同アプリのデータベースをホストしているアマゾンも、自身のサーバーからの退去命令を発表した。
これらの動きはトランプ大統領のSNS禁止からの影響だけではなく、それぞれの企業のガイドラインに違反するという指摘にParlerが対応しなかったがための処置の結果である。この動きについてParlerのJohn Matzeは「これは市場競争を妨害するために大手テック企業たちが仕掛けた組織的攻撃だ」と話しており、現在新しいホスト先を探している。