世界最小スマホ『Jelly』を生み出した企業が、“変わり種スマホ”をつくり続ける理由

世界最小スマホ『Jelly』を生んだ「ユニハーツ」の秘密迫る

 「Unihertz(ユニハーツ)」は2017年、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」にて『Jelly』と呼ばれるスマホを発表した。2.45インチの画面、60.4gの重量、手にすっぽりと収まるサイズ感。彗星のごとく現れた『Jelly』は、瞬く間に話題となった。

 その後も彼らは、優れた堅牢性を持つ『Atom』や、物理キーボード搭載の『Titan』など、変わり種スマホを発売し続けており、どれも高い評価を得ている。

 なぜ彼らはニーズの少ない変わり種スマホで成功したのか。本稿では、躍進する「Unihertz」の秘密に迫っていく。

「Unihertz」とは?

 「Unihertz」は、中国・上海を拠点に活動する電子機器ブランドだ。変わり種スマホを中心に数々の製品を発売し、ガジェットマニアの心を掴んでいる。

 特に、最初の製品として発表された『Jelly』は、「Kickstarter」で出資を募ってから、わずか57分で目標金額に到達し注目を浴びた。

 その後に発表された製品も、数分、数十分程度で目標金額に到達する人気ぶりだ。彼らは「クラウドファンディング」を活用し、大手ブランドとは違った新たな市場を開拓している。

クラウドファンディングを活用した新時代のブランド

 クラウドファンディングとは、「Crowd(群衆)」と「Funding(資金調達)」を組み合わせた造語だ。アイデアを実現したい人がプロジェクトを公開し、その内容に賛同する人から資金を集める仕組みを指す。

 クラウドファンディングの魅力は、実現が難しいプロジェクトでも資金調達できる点にある。ビジネスにおいて重要なのは、需要と供給だ。もし、需要と供給のバランスを精査せず、それを見誤って製品を発売すれば、販売台数が伸びず、ビジネスとして失敗に終わる可能性が高い。

 後ほど紹介するが、「Unihertz」の製品は、超小型サイズや物理キーボード、優れた堅牢性などを売りにしている。一方、現在のスマホ市場は、スペックやカメラ性能、利便性などを売りにしているため、彼らの製品は多数の支持を得にくい。

 そこで、クラウドファンディングを活用すれば、需要の少ない変わり種スマホでも、手に入れたい人々から直接的に資金提供を受け、製品化に踏み切ることができるというわけだ。企業側は低リスクで製品を供給でき、ユーザー側は好みのスマホが手に入る。

 「Unihertz」はクラウドファンディングを巧みに活用し、ニッチな層へのアプローチを実現した“新時代のブランド”といえるだろう。

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