量は質に転化するーー水溜りボンドの毎日投稿2000日突破に思う、“最強コンビ”たる理由
人気YouTuber・水溜りボンドは職人だ。2015年1月1日から1日も休むことなく続いている毎日投稿。多くのYouTuberがその大変さを痛感して、それぞれのペースに切り替えていった中で、5年以上それが続いているのはもはや他に類を見ない。そして6月22日に動画投稿2000日目を達成。『今日で毎日投稿2000日目。さあこれからどうしよう。』というタイトルの動画を投稿した。
空き教室から南極まで
カンタとトミー。大学生だった2人は、学校の空き教室から最初の動画をアップロードした。2016年2月26日にはサブチャンネル『水溜りボンドの日常』もスタート。彼らの生活は、まさにYouTube動画に記録されない時間のほうが貴重なくらい、全力で人生をYouTube動画に収めてきた。
2人で共同生活をしたアパートから、協力してくれた専門家たちの研究室や店舗、コラボした多くのYouTuberたちの拠点、さらに都市伝説が囁かれる場所や後輩たちとルームシェアをした“水溜りハウス“、無人島……と、次第にスケールアップしてきた『水溜りボンド』のステージ。現在は、カンタハウス、トミーハウス、そしてニッポン放送のラジオブースと、2000日前には考えられなかったような風景が広がっている。
気づけば、毎日投稿を続けながら南極にも行けるほど、彼らのキャパシティは広がっていた。水溜りボンドにとって「毎日投稿」は果たすべき目的ではなく、自分たちがやりたいことを実現するひとつの手段でしかなくなったのだ。
企画の規模が大きくなっても、手の込んだ編集に挑戦しても、毎日投稿ができてしまう。自分たちが楽しんでできるペースを見極めながら、現状に満足せずに少しずつ磨きをかけていく。そのスタンスこそが、彼らを「職人」と称したくなる理由だ。誰に課されるわけでもなく、自分たちが望んでそれを続けていくという強さ。実際、彼らは先の動画でこう語っている。
「“2000日連続でやろうぜ“って、どっちかが言ってたら、毎日投稿やってなかったし、できない。やってみたら意外とできてる。毎日投稿ってこのまんまじゃ終わらないんじゃないかな。現状、やめる理由がない。めちゃめちゃ好きなことって無限に続けられちゃうんだぜって、そういうことが伝わって、みなさんが好きなものを見つけるきっかけになったらいいな」(カンタ)
「もう“努力してるんです“、”大変なんです“って言いたいわけではなく、2人で楽しくやってるのが、気づけば毎日投稿になってる。YouTubeってプロデュース、演者、クリエイトの部分があって、噛み合わないなと思ったら多分すぐやめるんじゃないかな。でも、今の形が自分たちの体にあった投稿頻度なのかなと思う」(トミー)
口を揃えて言うのは「すごい人と出会った」こと
トミーの言うように、YouTuberは企画、撮影、そして編集と、すべての作業を自分たちで手がける。コンビとしての水溜りボンドは、そのバランスの良さが際立つ。大胆で男気あふれるトミーは、多くの人を魅了しプロデュース側に回り、撮影では2人で「おもろ!」と笑い合い、こだわりの強いカンタがクリエイト部分で活躍する。
もちろん動画内容によっては、そのポジションは流動的に対応できるのも、彼らの根が真面目な部分があってこそ。ベクトルは異なれど、同じくらいアツいものを持っているから成り立つコンビネーションだ。
ルームシェアから各自の部屋を借りて住むようになったのも、「アラサーになったし、自分の時間あった方がおもろいヤツになれるんじゃね?」と『水溜りボンド』としての活動を見据えてのこと。この先、より長い時間、お互いを面白がれるように、ある程度の余白を作るというのもひとつの手段だ。
また、動画では「こんなに楽しく過ごせる相方と出会えたことがすごい」と口を揃えて驚いているが、彼らの活動を見ていたら、出会えたというよりも時間をかけて「一生を青春のように感じられる相方に“なっていった“」という方がしっくりくるように思える。