『メガテン3』が現代に復刻する意義 リマスター版は“原作の輝き”を後世に伝えられるか

『メガテン3』が現代に復刻する意義

 10月29日、『真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER』が、PS4/Nintendo Switchでリリースとなった。

 本稿では、オリジナル版である『真・女神転生III-NOCTURNE』の概要を踏まえ、リマスター版発売の意義と、その評価を考えていく。『真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER』は、原作の輝きを後世に伝えられるだろうか。

シンプルながら奥深いシステムが醍醐味の『メガテン3』

『真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER』 - PV01

 『真・女神転生III-NOCTURNE(以下、メガテン3)』は、2003年にPS2にてリリースされたRPGタイトル。1992年より続く『女神転生』シリーズのナンバリング第3作だ。

 同タイトルには、予期せず東京の滅亡を生き残り、半人半魔の魔人となった主人公が、世界の秘密を知るべく滅亡後の東京を冒険する姿が描かれている。他のシリーズ作品同様、プレイヤーは敵として現れるモンスター(悪魔)を使役でき、これを強化することで悪に対抗する力をつけていくというゲーム設計だ。また、バトルにおいては、クリティカル攻撃をおこなったり、敵の弱点を突いたりすることで連続行動ができる、「プレスターンバトル」の仕組みを採用。シンプルながら奥深いシステムが『メガテン3』の面白さの根幹である。

 後発の『真・女神転生III-NOCTURNE マニアクス』では、新要素の追加やバランス調整がなされ、同作に対する評価はさらに向上した。今回発売となったHDリマスター版は、こちらをベースに開発されたもの。17年の時を超え、RPG史に残る佳作がよみがえったというわけだ。

“古典的作品”が現代へとフォーマットする意義

 このHDリマスター版が発売となるまで、『メガテン3』をプレイするには、『PlayStation2』を用意しなければならなかった。その物理的・精神的ハードルの高さから、面白さや評判を知りながら、プレイを諦めていた人間も数多くいただろう。今回復刻したことで新しい層が初めて同タイトルへと触れ、その面白さやRPGとしてのクオリティを知ることになる。そういった意味でも、HDリマスター版が発売した意義は大きいと言えるのではないだろうか。

 ゲームをカルチャーとして捉えるならば、商業的な成功と文化的な価値は切り離して考えなければならない。そのような視点をプレイヤーに与えてくれる、数少ないタイトルが『メガテン3』なのだ。

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