すべての「かつて17歳だった人」へ 性のリアル描くドラマ『17.3』は、なぜ大人も“学べる”のか
「見て見ぬふりをする」「臭いものには蓋をしてしまおう」には限界がある。そもそも人間の三大欲求の一つである「性欲」についてのみ切り離して、デリケートに慎重に扱おうとしすぎるが余り、腫れ物に触るかのような対応になってしまっているのが日本の性教育が遅れてしまっている所以だろう。今の日本の性教育にはあまりに信頼感が欠如してしまっているのではないだろうか。子どもを子ども扱いしすぎてしまっている。人間の本質的な営み、欲求なのであれば、もっと幼少期からその正体について、話し合い、一緒に考える時間や機会をもっと持つべきではないだろうか。
欲望や欲求は自然なもの、生理現象であって、むしろそれを禁じること自体が不自然、かつ無理で無意味なことなのである。相手の欲望を認めることこそ、相手を一人の人間として尊重することだとも言えるだろう。欲望を認めた上で、その付き合い方、処理の仕方、表現方法について、思い込みや必要以上の抑圧なしに向き合えるようになれば、不要に誰かを傷つけてしまうことも、自分に嘘をついたり誤魔化して生きていくことも極力減らせるのではないだろうか。
様々なマイノリティーの存在がようやく認識され始めた今、少数派の誰かにとって生きやすい世界こそ、自分も含めた誰にとっても生きやすい“優しい世界”だと言えるだろう。
この主人公の女子高生たちに遅れを取らぬように、本作を観て我々もきちんとジェンダー観やセクシャリティーなどの“多様性”についてアップデートしていきたい。その方がきっと自分もあなたも生きやすくなるから。
■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで2019年の劇場鑑賞映画本数は約80本。Twitter:https://twitter.com/Tominokoji
■番組概要
『17.3 about a sex』
毎週木曜夜11時~
放送チャンネル:ABEMA SPECIALチャンネル
番組URL
番組先行映像URL
企画・プロデュース:藤野良太
演出:金井紘
脚本:山田由梨
制作:ABEMA
〈キャスト〉
永瀬莉子
田鍋梨々花
秋田汐梨
水沢林太郎
新原泰佑
藤枝喜輝
石川雷蔵
ソニン
藤原紀香(特別出演)
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