新型コロナの封じ込めに失敗し、子どもの学業が犠牲に…… 休学が格差に与える影響を考える

中学校では化学がネックに

 小学生同様、中学生も休学による学力ロスは避けられません。しかし、年齢が上がるにつれて学んだことを忘れる量が減るとのこと。もちろん、休学中にコツコツ勉強した子どもと、全くしなかった子どもでは大きな差が開くことは明白ですが、忘れる量にだけフォーカスするなら、取り戻すのはそこまで難しくないのかもしれません。

 では、オンラインクラスになった場合、どんな問題が浮上するのでしょうか。中学生ともなると教科も増え、学習形態も変化します。オンラインでの学びの難易度が高いのは、化学だとThe Vergeは書いています。

 化学的プロセスを学ぶには、実験器具や他の学生との協力が欠かせません。オンラインで教師から学ぶことはできても、対面でなければ子どもたちが器具を共有したり、協力しあって課題に挑戦することはできないため、学びが遅れるだろうとバッファロー大学のSameer Honwad助教授は考えているようです。

 中学生ともなると、インターネットや必要なツールにアクセスできる確率は、小学生より高くなります。しかし、中学生の場合、PCやスマホの利用は親に依存するケースが多く、オンラインで協力するような課題があった場合、どこまで対応できるのかわかりません。

 ただ、Honwad助教授は、化学をオンラインで教える難しさは認めるものの、子供の柔軟性を考慮すると識字ほど深刻に捉えることはないのではと考えているようです。

高校では退学率が深刻化

 高校生にもなると多くの子どもたちが自分専用のスマホやPCを持ち、インターネットにアクセスできる環境を整えている上に、オンライン授業をこなす忍耐力も集中力も持っています。高校生はオンラインクラスに最も適していると言えるかもしれません。

 しかし、高校生の場合は学力の遅れよりも、貧困家庭の子どもが退学してしまうことが問題だと『The  Verge』は書いています。オンラインクラスを実施しても、アクセスするための環境を整えるのは学生側になります。オンラインクラスにアクセスすらできない貧困層の子どもたちは、必然的に同級生から遅れをとってしまいます。

 すでにある程度の数学やリーディングスキルを習得しているのなら、学校に戻らず働く決断を選んでもおかしくありません。実際、フロリダ州ブロワード郡の低所得の高校に通う生徒が4月に減少したそうです。オンライン授業が続けば、退学率が増えるだろうとGibbs氏は予想しています。

 日本では経済的理由による大学の退学・休学が増えているという報道がある一方、高校の退学者はあまりフォーカスされません。しかし、退学を考える高校生にも焦点をあて、解決策を考えていく必要がありそうです。

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