『TikTok』GM・佐藤陽一に聞く「コロナ禍でショート動画コンテンツがユーザーに与えた影響」

『TikTok』GM・佐藤陽一に聞く「コロナ禍でショート動画コンテンツがユーザーに与えた影響」

 特集「コロナ以降のカルチャー テクノロジーはエンタメを救えるか」の第2弾は、ショートムービープラットフォームTikTokのゼネラルマネージャー佐藤陽一氏が登場。新型コロナウイルス感染拡大の中、この数ヶ月の業界の動きや、自粛期間で学校が臨時休校となってしまった学生へ向けて実施した『#みんなの卒業式』、新規サービスの「TikTokライブ」そしてコロナ以降の動画コンテンツについて、デジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミ氏が話を聞いた。(編集部)

”ホッとする瞬間”を実感できるコンテンツが人気に

ーー新型コロナウイルス感染拡大以降、TikTokさんが取ってきた動きについて教えてください。

佐藤陽一(以下、佐藤):社内的なところからいうと、テック系の中でも他社さんに先駆ける形で、在宅勤務体制に移行しました。長くこの体制で仕事をしているのですが、この状況下で幸せなことに業務量は激増しており、生産性や効率は落ちることなく勤務しています。

ーー佐藤さんは、3.11 東日本大震災の時にはGoogleに在籍されていました。その時もリモートワークを経験されたと思うのですが、いかがでしょうか?

佐藤:そうですね。あのころもリモートワークをしていて、当時はGoogleのクライシスレスポンスという災害対応チームが会社の中で自然にできたのを覚えています。僕もその中の一員として動いていたので、一時期を除き、歩いて六本木ヒルズまで通勤していました。

ーー今回の緊急事態宣言の1番特殊なところは、“先が見えない”という部分だと思います。TikTokさんの中で、ある程度固まっている今後の運営方針はありますか?

佐藤:大前提として、「先が見えない状況」という捉え方はしていないです。3.11の経験を踏まえて、どんな形であれ、遅かれ早かれ終息はしていくものだと考えています。その先で、僕らに何ができるか、どんな貢献ができるのかという話を発信しながら、社内の雰囲気をポジティブに保っています。夜はリモート飲み会飲みなど会社の仲間で結構活発にやってるみたいですし、オンオフを切り替えながらやっているスタッフもたくさんいます。こういう時期だからこそ自分たちができることに対して前向きに取り組む空気ができ上がっていて、僕自身勇気づけられています。

ーー社内で始まった、社員さんの自発的な活動などはありますか?

佐藤:お茶会と称して、昼間に1時間くらいオンラインで集まって他愛もない話をしたり、チームによっては司会者を決めて、質問を色々と割り振って話をしています。ツールを使いこなすことに関して慣れている人が多くて、リモート会議で話していると若干ディレイが起きるんですけど、その前にテキストでツッコミを入れたり、音声とテキストを組み合わせながらコミュニケーションを取っていて面白いですね。

ーーこのコロナ禍において、TikTokの使われ方はどのように変化していますか?

佐藤:まず、利用者、利用時間はともに増えています。学校が休校になったり、在宅勤務の方が増えたことによって上の年齢層の方が多くなってもいますね。また、社会的なストレスが強い中で、ペットやコメディ、流行の音楽を使った楽しげな動きが入っている動画を中心に、ほっとする瞬間だったり、何も考えないで単純に”おもしろい”と思えるコンテンツは好まれているようです。海外系のコンテンツだと、コロナで最前線で頑張っている医療者の方々が、退院する人を拍手で送り出したり、わずかな時間で看護婦さんたちがダンスをしているビデオが、人をすごくホッとさせています。そういう動画が僕らのプラットフォームでシェアされるのは、幸せなことだなと思います。消費するだけではなく、自分たちも参加する、作っていくようなモーメントも、グローバルに少し強くなっていると思います。

ーーそんな中始まったストリーミングサービス「TikTokライブ」は印象的でした。TikTokユーザーの中でも需要は高かったのでしょうか?

佐藤:実はライブ機能に関しては、ユーザーやクリエイターの方々の需要が明確に見えていたわけでないのですが、米国やイギリスでは先行して市場提供しており、日本でのローンチタイミングを含めて準備を進めている最中に、このような事態になってしまったんです。エンタメ業界の方からファンの方とコミュニケーションを取りたいというご相談を受けていたり、東京都に若い世代の方たちに対してコロナ関連の情報を届けたいとご相談いただいたりする中で、需要に応えようと実験的にスタートしました。

ーー東京都との連携など、コロナ以降に実施された具体的な例はありますか?

佐藤:小池百合子東京都知事に使っていただいたことがきっかけで、他の自治体でも使いたいというお話はいただくようになりました。また、日本財団さんとの『Stay Home! チャリティLIVE』といった取り組みや、厚生労働省さんと連携した手洗いのビデオなど、通常のコンテンツも含めて利用いただくケースも多いです。ほかにも、コブクロさんが卒業式を迎える皆さんに対して楽曲を発表したり、プロモーションビデオの中にもTikTokから募集したビデオクリップを散りばめて使ってもらいました。コロナの影響で卒業式ができなくなったので『#みんなの卒業式』という企画が立ち上がり、TikTokを使って高校生、大学生、さらに卒業生の子供をもつ親の世代の方々が一緒に楽しんでもらえる場になったのは、すごくうれしかったですね。

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