デジタル先進国・フィンランドは新型コロナにどう対応? 現地ライターが政府・企業・個人の動きをルポ

デジタル先進国・フィンランドは新型コロナにどう対応? 現地ライターが政府・企業・個人の動きをルポ

 世界中で今も広がり続ける、新型コロナウイルスことCOVID-19。自らの身を守るため、そしてウイルスを広めないため、外出制限や自己隔離が多くの地域で実施されている。そうは言っても、職場に赴いて働かずに、どうやって生きていくことができるだろうか?

 この記事では筆者が住む北欧・フィンランドで、テレワークから非接触業務への切り替えまで、どのように企業が対応しているのかを記したい。

フィンランドにやってきた新型コロナウイルス

 フィンランドでは2月末の冬休みが終わると共に、北イタリアから戻ってきた旅行者を起点にし、新型コロナウイルスが3月上旬から徐々に広がり始めた。感染の疑いのある人だけでなく、感染者も病院ではなく自宅で自己隔離を行うよう指示されていた(状態が悪化した場合は別だが)。

 フィンランド国立労働衛生局TTLは3月13日、労働環境での新型コロナウイルス感染を防ぐためのガイドラインを発表。ここでは可能な限りテレワークを行うことが推薦されていた。週明けの16日には非常事態宣言が発令され、18日から国内の学校が閉鎖されることが宣言された。国立健康福祉研究所THLは3月24日に外出自粛ガイドラインを発表。首都ヘルシンキでの感染者が多いことから、3月27日より首都圏を含むウーシマー県が閉鎖(とは言っても仕事での首都圏外~圏内移動や、「親の死に目に会いたい」などでの移動は可能だし、共有親権の場合、未成年の子供が親に会いに行く権利もある)、レストランやバーも閉鎖(後述するが完全に閉鎖というわけではない)。

1990年代から徐々に浸透するテレワーク

 一度社内で感染者が出てしまえば、業務に支障が出る。他の社員に感染する可能性も高いし、これが接客業であれば客にも広めてしまう可能性があるだろう。これは社内の労働力が減少する状況のリスクであると共に、顧客と、社外への信頼を失うリスクでもある。そしてこれらのリスクは社の利益を危うくする。わざわざこのリスクを冒したいと思う会社はそうそうないだろう。

 そのような合理的な考えに国立労働衛生局からのガイドラインが拍車をかけたのか、早くも週末のガイドライン発表明けから、テレワークの徹底を図り始めた企業も少なくない。国営放送YLEによれば、現在までにフィンランド人口550万人のうち100万人ほどがテレワークをしているとされる。

 とは言え、急にテレワークを推薦されても、準備ができていないとそれは難しい。幸いなことにフィンランドでは、インターネットやデジタルデバイスが広まった1990年代以降、徐々にテレワークが増加。今回の事態にも対応しうる状況が作りあげられていた。

 YLEによれば、1990年には雇用主からの許可の元でITを活用して自宅から業務の一部を行うのはフィンランドの賃金労働者のうち、わずか2%だったが、2008年には10%に増加。現在では賃金労働者の3人に1人は部分的に何らかのテレワークをしており、上級管理職では約60%にのぼるという。

 テレワークの肝にあるのは“デジタル化”の進み具合だろう。業務内容の物理的な制約が少なければ少ないほどデジタル化がしやすく、業務を遠隔化できる割合も大きくなる。社風としても、物理性に固執しない場合はよりやりやすい。

 フィンランドの会社を一絡げにして語るのは難しいが、業務の面から言えば、書類作成やメール対応など、パソコンがあれば働く場所を問わない業種では、平常時でも週一日ほどテレワークを許可するところなども見られる。「電話をかける」といった行為も(それ自体が遠隔業務的だが)、オフィスに行かずウェブアプリを介することで会社のシステムから顧客に電話をかけることができる。契約書などの署名ならDocuSign(ドキュサイン)の電子署名で行うこともできるし、社内コミュニケーションにはSlackを、面接や社内外とのミーティングだって以前からGoogle ハングアウト/Google MeetやMicrosoft Teams、Zoom、(隣国エストニアで生まれた)Skypeなどを活用しているところもある。

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