Apple中国工場、新型コロナウイルスの影響で操業停止 業績への悪影響は不可避か

Apple中国工場が操業停止

 中国を中心として世界各地で感染者が発生している新型コロナウイルスは、経済にも影響を及ぼしつつある。それは、中国に製品組み立て工場を抱えているAppleのサプライチェーンにもあらわれている。

Apple Storeも閉鎖

 ロイター通信は4日、Apple製品の組み立てを請け負う台湾企業Foxconnが、同社の中国にある工場の操業を停止していることを報じた。同社最大の製造拠点がある中国東部の蘇州の工場は2月8日まで、上海工場は2月9日まで、そして広東州にある東莞工場は2月10日まで操業停止する。操業停止期間は1週間、さらには1ヶ月追加されることも懸念され、操業停止期間が長引けばAppleのサプライチェーンに影響を与えるだろう、と関係者は話しているという。操業再開に関しては、中国中央政府と州政府からの指示を待っている、とのことだ。

 停止しているのは工場だけではない。大手メディアCNBCは1日、Appleが中国にあるApple Storeをはじめとしたすべてのオフィス、店舗、コンタクトセンターを2月9日まで閉鎖したことを報じた記事を公開した。中国における同社オンラインストアの稼働は続け、状況を監視して「できるだけ早く」店舗の再開を目指す、と同社は声明で伝えている。

2020年第1四半期の出荷が10%ダウンという予測も

 以上のような新型コロナウイルスのAppleへの影響に関して、CNBCの3日付の記事は多数のアナリストや企業の予測と見解を報じた。Apple製品の動向予測で著名なMing-Chi Kuo氏は、新型コロナウイルスの影響により2020年第1四半期の出荷予測を10%下方修正し、36万台から40万台と見ている。

 金融グループのシティは、中国全土のApple Storeが閉鎖されたことにより、閉鎖期間中の中国における売上がゼロになる最悪のシナリオを想定している。このシナリオが現実のものとなった場合、Appleの売上は8億5,000万ドル(約930億円)の損失あるいは1.3%減少すると見ている。さらに、もし閉鎖期間が1ヶ月間に延長された場合、売上の34億ドル(約3,700億円)の損失あるいは5.2%の減少となると予想している。中国における同社オンラインストアは稼働しているものも、配送業務が削減される可能性がある、ともシティは指摘している。

 コンサルティング会社Evercore ISIは、Apple傘下にある775のサプライベンダーのうち約半数は中国に集中していることを指摘している。こうした事情により新型コロナウイルスが同社のサプライチェーンに影響を与えることは避けられないと見られるが、「Appleはリスクに強い企業だ」とEvercore ISIは評価している。

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