iPhone SE2の製造・出荷計画、コロナウイルスで大打撃? 工場閉鎖の可能性も
中国の湖北省武漢から新型のコロナウイルスが急速に拡大。1月29日段階で、感染者が5000人を超え、死者は100人を超えた。
日本での感染例も確認されており、世界全体の経済にも大きな影響が出ているが、2020年2月に製造を開始し、翌3月に発売されるといわれているiPhone SE2(仮称)の計画についても、打撃を与える可能性が出てきた。
中国内のAppleのサプライチェーンに支障
『Bloomberg』は「コロナウイルスの混乱でAppleのサプライチェーンに支障」というヘッドラインで報道(参考:https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-01-28/apple-supply-chain-braces-for-disruption-from-coronavirus)。iPhoneは主に、フォックスコン・テクノロジー・グループの鴻海精密工業が中国の鄭州市にあるiPhone Cityで、そしてペガトロン・コーポレーションが上海で製造しており、それぞれ、ウイルスが大発生した中国中部の武漢から500km以上離れているが、それでも影響を避けることが出来ない懸念があるという。
同記事内で、Moor Insights&Strategyのアナリスト、パトリック・ムーアヘッド氏は「サプライチェーンが混乱しないシナリオは想像できません。原材料、製造、組み立て、テスト、出荷のどこかで大きな問題があれば、混乱が発生します」とコメントしている。
Appleは予想を上回る需要に対応すべく、iPhone増産を進めている。通常、9月頃にハイエンドの新型iPhoneを発売するため、コロナウイルスがこれらの計画に影響を与える可能性は限定的だ。しかし、Appleは2月にローエンドの新型iPhoneの量産を開始する準備も進めているとされ、こちらは危機的状況にあると推察される。
Appleは中国に小売部門等、約1万人の従業員がおり、そのサプライチェーンには、数百万人の労働者が従事しているが、中国当局は厳しい移動制限を行い、人口1100万人以上の武漢市全体を検疫する措置を講じる予定。上記記事にも、Wedbush Securitiesのアナリスト、ダン・アイヴス氏が「感染がさらに拡大し、フォックスコンや部品製造業者の従業員が制限され、サプライチェーンが混乱するのが、投資家にとっては懸念だ」とコメントを寄せるなど、世界の投資家も動向を注視していることがわかる。
フォックスコンは、中国での状況を注視し、健康を守るための指示に従っているとしつつも「世界中へ出荷すべく製造作業の全てを引き続き全うできるように、対策を行なっている」としている。
製造拠点のある地域でも患者確認、中国当局が工場を閉鎖する可能性も
鄭州市のある河南省でも、コロナウイルスの事例が確認されており、政府が拡大を抑えるために工場を閉鎖させる可能性も浮上してきた。
『Nikkei Asian Review』は「Appleは生産を10%拡大予定だが、サプライヤーはコロナウイルスを恐れている」という見出しで報じており「中国のコロナウイルスの状況は、計画された生産スケジュールに影響を与える可能性がある」というサプライチェーン関係者の談話を伝えている(参考:https://asia.nikkei.com/Business/Technology/Apple-plans-10-production-boost-but-suppliers-fear-coronavirus)。