Appleの2019年は「サービス事業重視」の転換点だった 成長のカギは後発サブスクか?
GAFAの一角をなすAppleは8日、公式プレスリリースを発表した。その内容は2019年における同社の業績を回顧して2020年の展望を述べるものなのだが、2019年は同社にとってあの主力製品の販売に偏重することから脱却した転換点となる年だった。
堅調なApp StoreとApple Music
2020年最初となるプレスリリースにAppleが込めた思いは、「Apple、歴史に残る一年に続く、サービスの新たな時代を祝う」というタイトルから如実にうかがえる。同社にとって2019年とは、主力製品であるiPhoneシリーズの販売に偏重することから脱却できた年だったのだ。そのように宣言できる証拠が、プレスリリースでは具体的な数字とともに挙げられている。
「スマホアプリ」というソフトウェアカテゴリーの普及に多大に貢献したApp Storeは、2008年の登場以来、累計1550億ドル(約17兆円)以上の利益を上げてきた。しかも、その利益のうちの1/4にあたる約390億ドル(約4兆2000億円)は2019年に得たものなのだ。さらに昨年のクリスマスイブから大晦日にかけての1週間におけるアプリ購入額は過去最高の14億2000万ドル(約1550億円)に達した。この勢いは2020年になっても衰えず、同年新年には3億8600万ドル(約420億円)を記録して単日売上の新記録を樹立した。
Appleが提供するサブスクとしては先発組となるApple Musicも堅調だ。同サービスは、現在では6000万曲以上を115ヶ国に配信しており、音楽のエキスパートが選曲したプレイリストは数千にのぼる。2019年には音楽と同期して歌詞を表示する機能をリリースし、50%以上のリスナーが同期を利用している、とのこと。
後発サブスクも好調
2019年は、AppleがApple Musicに続くサブスクを多数リリースした年でもあった。そのひとつであるApple TV+は、動画サブスクとしては初めてサービス開始初年度にオリジナル作品がゴールデングローブ賞にノミネート(『ザ・モーニングショー』がテレビドラマ部門作品賞、主演女優賞には出演女優ふたりがノミネート)されるという栄誉にあずかった。サービス開始当初から100ヶ国以上で展開したという点においても、動画サブスクとしては史上初となった。
ゲームサブスクのApple Arcadeも好調だ。同サービスは現在100本以上のゲームを配信しており、それらはすべて無課金でプレイできる。そんなゲームのなかには、同サービスの独占ゲームも含まれる。2020年には引き続き毎月、新作ゲームや既存ゲームの新規エピソードを追加していく予定だ。
サブスクには分類されないがApple独自のカードサービスであるApple Cardの展開も見逃せない。2019年12月には、アメリカにおいて同カードを使ったiPhoneの新規購入サービスがスタートした。このサービスを使えば、iPhoneを24ヶ月の分割払いを金利ゼロで組めるようになる。同サービスには、販売数が減ってきているiPhoneシリーズの再成長を促す意図があると見て間違いないだろう。