『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』、なぜスーパーテクノロジーを“魔法”のように用いた?
「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」
これは、SF作家アーサー・C・クラークの「クラーク三原則」の一つであるが、現実にこれを実感することが増えてきた。スマホでできることはどんどん多くなり、イーロン・マスクは念じただけでPCへの入力を可能にする脳マシンインターフェイスの開発を発表した。そのうち、人間は大きな乗り物なしで空を飛べるようになるだろうし、ボタンひとつで変身できるようにもなるかもしれない。
そんな科学技術の発達は、娯楽映画のあり方にも確実に影響を与えている。マーベル映画の新作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は、まさに発達したテクノロジーを“魔法”のように用いた作品だ。その“魔法”の仕掛け方に、現実の社会が直面している問題と『スパイダーマン』シリーズの本来持つテーマ性がリンクしており、我々が生きる世界について思いを巡らせる作品となっている。
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