『スマブラSP』で『バンカズ』の歴史詰め込まれた「クルクルやまのふもと」セルフアレンジ公開

 もともとオリジナル版の「クルクルやまのふもと」は、ゲームのスタート地点となる同名ステージで流れる楽曲で、バンジョーで演奏される、ゆったりとしたテンポのカントリー風のサウンドに、牧歌的なメロディと鳥のさえずりや動物の鳴き声を乗せた楽曲だった。また、『バンジョーとカズーイの大冒険2』の同ステージでアレンジされた際には、バンジョーの要素を取り除き、よりテンポを落とした楽曲に変化していた。今回のセルフアレンジ版では、1作目『バンジョーとカズーイの大冒険』のオリジナル版に通じる雰囲気をバンジョーを使って再現しつつ、よりテンポを速めることで、『大乱闘スマッシュブラザーズ』らしい非常に賑やかな雰囲気を表現。途中で加えられるストリングスも印象的なものになっている。

 とはいえ、この楽曲の最大の聴きどころは、注意深く聴いていくと、『バンジョーとカズーイの大冒険』と『バンジョーとカズーイの大冒険2』から、様々な楽曲の要素を引用しているように感じられることだろう。まずは序盤、「クルクルやまのふもと」のメロディの裏でそっと加えられているのが、琴楽器によって表現されたと思しき「おたからザクザクびーち」(『バンジョーとカズーイの大冒険』)のメロディの一部。他にも「フローズンズンやま」(『バンジョーとカズーイの大冒険』)、「グランチルダのとりで」(『バンジョーとカズーイの大冒険』)、「マヤヤンしんでん」(『バンジョーとカズーイの大冒険2』)、「サビサビみなと」(『バンジョーとカズーイの大冒険』)のフレーズがそれぞれ挿入され、バンジョーとカズーイのこれまでを連想させる。つまり、音自体に同シリーズの歴史が詰め込まれているのだ。

 今回のセルフアレンジ版「クルクルやまのふもと」は、オリジナル版の作者による、バンジョーとカズーイへの「おかえり」を表現した楽曲ということなのかもしれない。実装は今年の秋頃を予定。任天堂作品で19年ぶりに活躍するバンジョーとカズーイに期待したい。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

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