祝『スマブラSP』参戦! 箱庭アクションの傑作『バンジョーとカズーイの大冒険』を振り返ろう
任天堂が6月12日午前1時に公開した動画番組「Nintendo Direct: E3 2019」。本番組の公開と同時に様々な新情報が明らかとなり、日本時間で深夜にも関わらず多くの人々から注目を集めることとなった。
筆者もご多分に漏れず目を丸くして内容を見守っていたが、その中でも飛びぬけて驚いた情報がある。それは「バンジョー&カズーイ」の『スマッシュブラザーズ SPECIAL』(スマブラ SPECIAL)参戦のアナウンスだ。
そもそも『バンジョーとカズーイの大冒険』とは?
そもそも「バンジョー」と「カズーイ」とは何者なのか? もちろんゲーム作品に登場するキャラクターなのだが、馴染みのないユーザーにとっては無名に等しいかもしれない。そこで、まずは原作である『バンジョーとカズーイの大冒険』について、筆者のプレイ経験を交えながら解説したいと思う。
1998年12月6日発売のニンテンドー64用ソフト『バンジョーとカズーイの大冒険』は、3Dポリゴンで描かれた箱庭フィールド内を冒険するアクションアドベンチャーだ。本作の主人公を務めるのは、心優しい性格で正義感を忘れないクマのバンジョーと、どこか勝気で我が強く、アタイ口調で喋りまくるトリのカズーイ。そんな2人が悪役にさらわれしまったバンジョーの妹「チューティー」を助けるため冒険に旅立つ……というのが大まかなストーリーである。
フィールドを自由自在に動き回る開放的な操作感や、ステージ内のキーアイテムを集めて新たなステージをアンロックするシステムなど、基本的な部分は1996年発売の『スーパーマリオ64』を元に制作されており、国内外を合わせて高い人気を誇っている。20代前半~30代の年齢層の中には、幼少時代に本作を手に取った方もいるのではないだろうか。
ゲーム全編に漂う「エグみ」が魅力
文章だけを見ると、ファンタジーテイスト溢れるコミカルなアクションゲームに思えるかもしれない。しかし実際のプレイ経験を踏まえて語るなら、『バンジョーとカズーイの大冒険』はどこか「エグみ」を秘めた作品だった(少なくとも”コミカル満載”ではない)。
イベントシーンで展開するキャラクター同士の奇妙な会話。バンジョーのパンチ攻撃を受けてバラバラに砕け散る敵キャラたち。そして、メニュー画面からゲームを終了するたびに映し出されるチューティーの変わり果てた姿(ご丁寧に”ゲームオーバー”の表示つき)など、どこか違和感を覚えさせる要素がふんだんに盛り込まれてた。続編である『バンジョーとカズーイの大冒険2』でも独特な雰囲気は健在で、初代から登場するメインキャラクターがなんとオープニングであっさり死んでしまう。
「重要キャラクターがゲーム開始前に退場する」というゲーム内事件を含め、この「人によって不快(もしくは合わない)」と取られる要素が本シリーズの大きな魅力であると筆者は考える。エグみや苦味があるおかげで、初プレイから20年近く経った今でも思い出のシーンがありありと浮かんでくるからだ。